2023.04.26

“パーフェクト・ロット・トラッキング”ってどう?!その実績とお客さまからのフィードバックについて。

当社は、製品のトレーサビリティ向上のために2022年09月から“パーフェクト・ロット・トラッキング(PLT)”システムの試験運用を開始しました。

原材料や製造に関わる情報をメッキパイプ1本1本に紐付け、お客様に安全/安心な製品をお届けする仕組みですが、「実際の運用状況はどのような感じなのか?」や、「現状で何か問題はないのか?」といったご懸念を抱かれている方もいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は、“PLT”の今までの実績やお客さまから頂いた評価についてご説明いたします。システムの詳細を知っていただき、ぜひ今後の対応や活用への参考にしていただければ幸いです。

”PLT”とは高精度でトレーサビリティを実現する仕組み

“PLT”の概要

“PLT”は、当社が独自に開発したメッキパイプ1本1本を後から識別できるようにし、英語で”追跡可能性”を意味するトレーサビリティ(Traceability)を高精度で実現する仕組みです。

PLT

具体的には、パイプの表面に”データ・マトリックス・コード(Data Matrix Code)”と呼ばれる印をレーザーで製品に付けることで、製造に関わる様々な情報を紐付けることを可能にします。

つまりこの仕組みによって、パイプ1本毎にどんな原材料を使って”いつ”、”どこで”、”どのように”製造されたのかが詳細に把握できるようになる訳です。

なお、情報とはあくまでメッキパイプそのものの製造に関わる内容であり、お客様の情報は含まれておりませんので、ご安心ください。

当社では従来のトレーサビリティの取組でとして、サイズやロットNo.を印字した製品タグを、メッキパイプ1束につき1枚取り付けていました。

しかし、タグは使用時に必ず外しますし、取り付けたままにしようとしても、何らかのアクシンデントで外れてしまう可能性があります。

また、タグが無くなると製品情報が分からなくなるため、問題が発生した製品の特定や回収に多大な手間がかかってしまいます。

一方で、"PLT"の場合はパイプ自体にデータが組み込まれていることから、問題が起きた場合でも、迅速に対応できるようになります。

更に詳しく当社で開発した“PLT”について知りたい場合は、以下の記事で解説しておりますので、こちらもぜひご覧ください。

 ブログ:品質向上への更なるチャレンジ!!”パーフェクトロットトラッキング”の取組について。

PLTで可能になる”トレースフォワード(追跡)”と”トレースバック(遡及)”

トレーサビリティでポイントとなるのは、”トレースフォワード(追跡)”及び”トレースバック(遡及)”という2つの追跡方法で品質管理を行うことです。

”トレースフォワード”とは、製造工程で問題が発生した場合にピンポイントで製品を特定する仕組みです。川上から川下へ向かって時系列に不具合を追跡するイメージです。特に製品回収やリコール等の対応に有効で、不良品の特定及び迅速な回収を可能にします。

一方で”トレースバック”とは、出荷した製品に問題が起きた場合に原因となった製造工程を特定する仕組みです。川下から川上へ情報をさかのぼるイメージで、クレーム発生時の原因究明等の対応はこちらに該当します。

“PLT”のシステムによって、この2つの方法の何れにおいても、より高い精度で効率的/効果的に製品を追跡をする事が可能になります。

つまりクレーム発生時の原因究明が迅速にできるだけでなく、製造工程で問題が発生した場合にも回収の対象となる製品を高い精度で素早く特定できることから、従来の管理方法のように製造ロット毎に製品を全量回収する必要がなく、経済的な対応が実現できる訳です。

PLTの試験運用の開始から2023年03月までの実績について

plt-01-1

当社の“PLT”は、2022年09月から正式に試験運用を開始しました。工場の設備上、当社2ラインのうち1ラインでの製造となっており、”PLT”の適用は最大で1,500トン程度/月となっております。

現在”PLT”の主な対象となっているのは、軽量足場管”スーパーライト700(SL700)”の48.6×1.8サイズです。数量実績としては、2022年09月から23年03月迄の期間において、おおよそ約50万本に相当する3,300tとなっております。

スーパーライト700資料

また、2022年8月に”SL700”に先立って試験運用の対象となったポストジング34.0×3.2サイズについては、数量実績はおおよそ約8,800本に相当する118tとなっております。

いずれのサイズにおいても既に出荷を行っており、現時点でクレーム等は発生しておりません。

当社では、今後”PLT”の試験運用のサイズを広げるために、現在お客さまにヒアリングを実施しております。頂いたご意見を考慮した上で、それぞれのお客様のご要望に合わせて、刻印可能なメッキパイプについては刻印を行う予定となっております。

お客様からのPLTに関する評価

”PLT”のサンプル品をご覧いただいたお客様からは、「エンドユーザーへ製品の品質管理面で優位性をアピールできる」という言葉を頂戴しました。

また、「流通経路が明確になるため、万が一盗難等が発生し現物が後で見つかった場合でも、製品と所有者が特定できる」という点も評価いただいています。

ヒアリングにおいては、「特に問題はなさそうだから刻印して構わない」というご意見を多数いただいている一方で、別のお客様からは「マーキングを表面傷と間違われる可能性があるのではないか」というご懸念をいただきました。

メッキパイプの用途によって反応も様々であるという点を考慮し、当社としてはお客さまのご希望に可能な限り応える形で対応を行ってまいります。

PLTの課題と対策

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現状確認できている”PLT”の課題としては、製品の活用方法によってはレーザー刻印を一種の”傷”と認識される可能性がある点が挙げられます。

刻印をしてもメッキパイプの品質に違いはございませんが、「表面肌が気になるので刻印を控えたい」という場合は、許可をいただいたサイズのみに刻印をさせていただきます。こちらから刻印を強要することはございませんので、ご安心していただければと思います。

また、道路標識や車止め等の製造でパイプを加熱する塗装工程の場合には、マーキングの凹凸に空気や汚れなどの異物が残った場合、塗膜が発泡する可能性があります。

こちらについては事前にシッカリと可能な対処方法を協議させていただくとともに、テストピースの提供も可能ですので、お気軽にお申し付けください。

もし万が一実際に塗装をしてみたら「やっぱり駄目だった」という場合は、速やかに仕様変更に対応させていただきますのでご安心ください。

まとめ

今回は、“PLT”の現時点までの実績やお客さまからいただいたフィードバックをお伝えいたしました。当社の品質管理の取組について何卒ご理解とご協力を宜しくお願い申し上げます。

“PLT”による製品のマーキングに関する資料をご用意いたしましたので、お取引様へのご案内等にご活用ください。

資料ダウンロードはこちら

また、”PLT”のサンプル出荷のご依頼にも対応いたしますので、ご興味がある方は、以下のお問合せフォームからお気軽にご連絡ください。また、ご質問やご要望等もご遠慮なくお寄せください。

新規CTA

今回も最後までお読みいただき感謝申し上げます。当社では引き続き安全/安心な製品をお届けする為の取組を進めてまいりたいと考えております。今後とも宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。


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