2025.12.10

"STX"で今迄にないコストダウンや設計を?!農業用ビニールハウスの施工事例から紐解く新たな可能性。

"STX"は、従来材よりも約2倍以上の強度を持つハイテン鋼管であり、様々な構造物でピッチを広げて強度をそのままにできるためコスト削減に効果的ですが、特に農業用ビニールハウスでは、採光性の向上など今迄実現が容易でなかった設計が可能となり注目を集めています。

実際のところ農業用ビニールハウスは、地域や作物によって"肩高"や"間口"が異なる為、その背景や経緯に注目をすると如何にニーズに合った設計をハイテン鋼管で実現していくのかという点で、大いに参考になる訳です。

そこで、今回は当社の"STX"を使用した農業用ビニールハウスの施工事例をご紹介します。

是非、ご自身が理想とする農業用ビニールハウスの設計に活用するのみならず、その他の構造物でも如何に"STX"を有効活用するかという視点でご参考にしていただければ幸いです。

STXとは?

パイプ画像-STX

 

 

"STX"は、日本製鉄株式会社と大和鋼管工業株式会社が共同開発をした、従来製品に対しより"しなやかで"強靭"な特徴を持つ高張力鋼管製品の総称です。

鋼管の機械的性質である引張強さ/"降伏点"や耐力及び設計基準強度は、それぞれ従来材"STK400"に比べ700N/㎟以上で約2倍以上のレベルに達しています。

種類

機械的性質

設計基準強度
(短期許容応力度)
[N/㎟]

引張強さ
[N/㎟]

降伏点
又は
耐力
[N/㎟]

伸び
[%]

G3444
STK400

一般構造用炭素鋼鋼管

400 235 23以上 235

STX(700N)

ハイテン鋼管
厚み2.0mm以上

700

570 10以上 490

STX(780N)

ハイテン鋼管
厚み1.2mm、1.6mm

780 - -

546

"STX"を農業用ビニールハウスに採用することで、強度を落とさずにアーチ部分のピッチを拡げたり、パイプを細くしたり、パイプ本数そのものを減らすことが可能です。

また、アーチ部分のピッチを拡げたりパイプ自体を細くしたりすることで、採光率を向上させたり、従来材に比べてコスト比を20〜30%低く抑えられるケースもあります。

STXのサイズ一覧

"STX"のサイズは丸形はφ25.4〜φ76.3、角形は50x50/60x60/75x45の3サイズの製造実績があります。

表面仕様 規格 外形
[mm]
肉厚
[mm]
※長さ
[mm]
ポストジンク/パーフェクトポストジンク STX(700) φ25.4 2.0

3,500 ~ 8,000

ポストジンク/パーフェクトポストジンク STX(700) φ31.8 2.0

3,500 ~ 8,000

ポストジンク/パーフェクトポストジンク STX(700) φ34.0 2.0

3,500 ~ 8,000

ポストジンク/パーフェクトポストジンク STX(700) φ38.1 2.0

3,500 ~ 8,000

ポストジンク/パーフェクトポストジンク STX(700) φ42.7 2.0/2.6

3,500 ~ 8,000

ポストジンク/パーフェクトポストジンク STX(700) φ48.6 2.0/2.3

3,500 ~ 9,300

ポストジンク/パーフェクトポストジンク STX(700) φ60.5 2.0/2.3/2.6/2.8

3,500 ~ 9,300

ポストジンク/パーフェクトポストジンク STX(700) φ76.3 2.3/2.8

3,500 ~ 9,300

パーフェクトポストジンク STX(700) 50 x 50 2.6

3,500 ~ 9,300

パーフェクトポストジンク STX(700) 60 x 60 2.0/2.6

3,500 ~ 9,300

パーフェクトポストジンク STX(700) 75 x 45 2.0

3,500 ~ 9,300

パーフェクトポストジンク

STX(780)

25.4 1.2/1.6

3,500 ~ 9,300

パーフェクトポストジンク STX(780) 31.8 1.2/1.6

3,500 ~ 9,300

パーフェクトポストジンク STX(780) 38.1 1.2/1.6

3,500 ~ 9,300

パーフェクトポストジンク STX(780) 42.7 1.2/1.6

3,500 ~ 9,300

私たちは、農業用パイプの用途をメインとして、アーチ材として使用されるサイズを中心に"STX"を在庫をしています。以下のサイズであれば、急な案件で納期がタイトな場合や結束単位での小ロット等でも、早目に細かな対応ができますので、ご活用頂ければ幸いです。

表面仕様

規格

外径x肉厚x長さ[mm]

販売基準量[本]

加工仕様

ポストジンク

STX(700N級)

31.8x2.0x5,500

375

プレーンエンド

ポストジンク

STX(700N級)

31.8x2.0x6,100

500

プレーンエンド

ポストジンク

STX(700N級)

31.8x2.0x6,400

500

プレーンエンド

ポストジンク

STX(700N級)

31.8x2.0x6,700

500

プレーンエンド

パーフェクトポストジンク

STX(780N級)

25.4x1.2x5,500

450

プレーンエンド

パーフェクトポストジンク

STX(780N級)

25.4x1.2x6,400

600

プレーンエンド

パーフェクトポストジンク

STX(780N級)

31.8x1.6x5,400

375

プレーンエンド

パーフェクトポストジンク

STX(780N級)

31.8x1.6x6,400

500

プレーンエンド

パーフェクトポストジンク

STX(780N級)

31.8x1.6x6,700

500

プレーンエンド

パーフェクトポストジンク

STX(780N級)

42.7x1.6x6,400

400

プレーンエンド

STXを使用した農業用ビニールハウスの施工事例

私たちは、"STX"などの軽くて強いハイテン鋼管の開発に20年以上にわたって取り組んでおり、北は北海道から南は沖縄までの全国規模で多くの業者さまにご活用いただいております。

以下に実際に"STX"を使用した農業用ビニールハウスの施工事例を一部ご紹介いたします。

北海道

場所

 北海道帯広市 

使用パイプ

STX700 31.8 x 2.0

肩高×間口x奥行

1.8m x 9.0m x 60m

ピッチ

50cm

用途

野菜栽培

[JP]施工事例(北海道)

栃木県

場所

栃木県真岡市

使用パイプ

STX700 31.8 x 2.0

肩高×間口x奥行

1.8m x 7.2m x 30m

ピッチ

50cm

用途

格納庫(牧草)

[JP]宇都宮大学STXハウス

奈良県

場所

奈良県天理市

使用パイプ

STX700 31.8 x 2.0

肩高×間口x奥行

1.9m x 7.0m x 46m

ピッチ

75cm

用途

いちご栽培

[JP]施工事例(奈良3)正面
愛媛県

場所

愛媛県伊予市

使用パイプ

STX700 31.8 x 2.0

肩高×間口x奥行

2.0m x 7.2m x 50.0m

ピッチ

75cm

用途

みかん栽培

[JP]施工事例(愛媛)

熊本

場所

熊本県熊本市

使用パイプ

STXR 75x45×2.0mm(主材)、STX 38.1x2.0mm(母屋材)

肩高×間口x奥行

2.5m x 7.0m x 50m

ピッチ

250cm

用途

トマト栽培

[JP]施工事例(熊本)正面

[JP]施工事例(熊本)側面

沖縄

場所

沖縄県恩納村

使用パイプ

STX780 25.4 x 1.2

肩高x間口x奥行

3.0m x 6.0m x 21.0m

ピッチ

60cm

用途

果樹(パッションフルーツ)の苗床

[JP]施工事例(沖縄)正面

[JP]施工事例(沖縄)内部.jpg

パイプの外径・肉厚やピッチに注目していただくと、積雪や風害等の気象条件への対応や、作物に必要とされる採光性への配慮、そして其れ等を如何に経済合理性を以て実現するかに、様々な工夫がなされている事が見えてきます。

ご興味があれば是非、下記のリンクから施工事例をダウンロードいただき、詳しくその内容を確認したり、実際の検討やご商談にご活用いただければ幸いです。

STX農業用ハウス施工事例

購入・施工に関する注意点

当社の"STX"を農業用ビニールハウス向けにて購入検討している皆さまには、曲げ加工しなければならないケースが多く専門の加工業者への依頼が必要となる為、農業資材販売店を介して購入することをオススメしています。

更に農業資材販売店からは、施工や栽培等に関する様々なアドバイスも受ける事もできる為、自身が求める使い勝手の良い農業用ビニールハウスを実現する上ではうってつけです。

また、"STX"に限らずハイテンパイプは従来材に比べて"スプリングバック"が大きいので、農業用ビニールハウスに使用する場合には、"自力施工"ではなく、なるべく専門の施工業者さまに依頼する事が無難です。

まとめ

今回は当社の"STX"を使用した農業用ビニールハウスの施工事例をご紹介しました。

農業用ビニールハウスのみならずその他の構造物に対しても、当社の"STX"を使用してみたいとご興味がある方がいらっしゃいましたら、"STX"を取り扱っている農業資材販売店さまやその他の取引先をご紹介することが可能ですので、以下のお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。

新規CTA

最後まで読んでいただき感謝申し上げます。何かご質問や要望等があれば、何時でもご遠慮無く連絡ください。引続き宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。

執筆者紹介

田中 辰弥
田中 辰弥
大和鋼管工業(株)企画部企画 課長。理工学部で得た知見を応用し、メッキパイプの構造解析に情熱を注ぐエキスパート。NETIS登録申請やハウスの構造診断といった高度な技術分野を担いながら、西日本での豊富な営業経験を活かした現場/顧客視点で、信頼性の高い技術情報を発信。

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