2023.10.11

台風・強風に耐えるパイプハウス実現への強い味方‼︎当社のハイテン鋼管“STX”の性能を総まとめ。

昨今のニュースを見ると、地球温暖化による影響で、台風の大型化や線状降水帯の頻発等、気候変動の影響は年々大きくなっていると実感します。

そのような中で農業に携わる皆さまの中には、”台風や強風にも負けない強いパイプハウスが欲しい”とお考えの方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、台風や強風、さらに大雪にも負けない当社オリジナルの農業用パイプ“STX”について、実例や試験データを中心にご紹介したいと思います。

 

”STX”を活用した農業用ハウスの優れた復元力!

下の写真の左側は、台風により原型をとどめないほどに倒壊した農業用ビニールハウスです。地盤が緩い水田の跡地に施工し、沈下止めをしていなかったこともあり、強い風雨で風下側から引抜かれてしまいました。

[JP][Blog]STX農業用ビニールハウス(倒壊時組立直し後)    写真1: 農業用ビニールハウスの倒壊時/再施工後の比較写真
     ・母屋部分は従来材のSTK400φ31.8x1.6、アーチ部分は当社STXφ31.8x2.0を使用
     ・平成29年10月台風21号の影響で倒壊/兵庫県内にて撮影。兵庫県内では最大瞬間風速45m/sを記録

そして、この倒壊した農業用ビニールハウスを再施工したのが、右側の写真になります。

”母屋”部分は従来材を使っていたためパイプ自体のダメージが大きく、新しいものに取り替えることになりましたが、アーチ部分には当社の”STX”を採用いただいていたため、パイプ自体にダメージはなくそのまま再利用しています。つまりアーチパイプは組み立て直しただけで、元通りの状態へ復元できたのです!

この“STXの復元力”を皆さまにお伝えししたく、”STX”の曲げ/たわみについての資料もご用意しました。下記のリンクよりダウンロードし、ご検討やご提案に活用していただければ幸いです。

資料はこちら︎

“STX”の歩み

では、”STX”とはどのようなパイプなのか、誕生秘話から今日までの成長をお話ししたいと思います。

先ず、”STX”とは、”高抗張力鋼管/ハイテン鋼管”とも呼ばれます。当時ハイテンパイプの多くのは自動車用でしたが、日本製鉄株式会社と当社の共同開発で単管パイプ/足場管向けに用途開発された後に農業ハウス用にカスタマイズされ、2005年には”STX(700N)”、2016年には”STX(780N)”の販売を開始しました。

パイプ画像-STX

そして、2017年には”STX友の会”を発足させ、2023年09月時点で会員さまは60社を越えるまでになりました。”STX”の素晴らしさをより多くの人に実感してもらえるよう、年次大会や勉強会等も開催しております。

2023年09月末時点で約2万1000トンの累計販売量実績を達成し、実に多くのお客さまにご愛用いただいている当社が自信を持ってオススメする製品です。

”STX”のカタログについては、以下のフォームより無料でダウンロードしていただけます。

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”STX”や”ハイテン鋼”の歴史について詳しく知りたい方は、以下のブログをご参照ください。

 参考ブログ: ”STX”の今までとこれから!!大和鋼管が開発してきたハイテンパイプの歴史について。
 参考ブログ ”ハイテン鋼”ってどんなモノ?!その定義や歴史等をわかりやすく解説。

“STX”は強くてしなやか

”STX”の一番の強みは、その“強靭(きょうじん)さ”です。その言葉が意味するとおり、強くて靭(しな)やかなので、前述した写真のように優れた“復元力”を発揮する訳です。

では、ソレを裏付ける具体的なデータを、下記表で見ていきましょう!

 

STX(780N)
外径25.4mm  x 肉厚1.2mm

STK400
外径31.8mm x 肉厚1.6mm

基準強度
(N/mm2)

546 235

最大曲げモーメント
(KN・cm)

28.8 25.6
断面二次モーメント
(cm4)
0.67 1.74

※STX(780N)の基準強度: 546N/㎟    (引張り強度 780N/㎟   x 70%=546N/㎟   )
データ1: 強靭さの比較データ(出所:自社比較試験)

先ず、”STX”の基準強度は従来パイプの2倍となります。最大曲げモーメントも従来パイプと比べ大きいので、同じ力を加えて曲げたときに破壊されにくいことがわかります。

また、断面二次モーメントは従来パイプと比べて小さいので、同じ力を加えて曲げたときに、しなり/たわみが大きく、しなやかであることがわかります。

このように”STX”は強靭かつ優れた復元力を備えていることから、農業用ビニールハウスの強度を従来材を使ったハウスのレベルに保ちながら、アーチ部分のピッチを拡げたり、パイプを細くしたり、パイプ本数そのものを減らすことも可能です。

 

[JP][Blog]STXハウス説明図

この図を見ると、アーチ部分のピッチを拡げたりパイプ自体を細くしても、耐えうる風速や積雪の値、そして採光率も従来材より向上していることがわかります。さらに、アーチパイプのコスト比の項目は従来材に比べて20〜30%低くなっています。

農業用ビニールハウスに”STX”を採用することで、強度を同等以上に保ちながら、採光性の向上や20〜30%のコスト削減も実現できるのです。

強くてしなやかな“STX”の更なる魅力!

さて、”STX”には復元力以外にも魅力的な特徴がありますので、併せてご紹介したいと思います。

1) 耐食性が高い

”STX”は、当社独自の”インラインメッキ”を施す”ダイワZプロセス”でメッキされているため、赤サビが発生しやすい金属溶射部がありません。また、亜鉛メッキ表面は高耐食性樹脂系トップコートでコーティングが施されており、白サビの発生を抑える効果があります。

[JP]PZパイプ製造工程図_Cap_mizueco

 参考ブログ:"インラインメッキ"と"ドブメッキ"は何が違う?!亜鉛メッキの製法による特徴の違いを解説。

2) 人や地球環境に優しい

更に”一時防錆”を施す為のトップコートは、有害物質である”六価クロム”を一切使用しておりません。そのため、2022年12月に改正された”JIS G3302 溶融亜鉛めっき鋼板”のJIS規格と同等に環境に優しいので、安全/安心にご使用いただけます

”六価クロム”の完全撤廃だけでなく、亜鉛メッキ工程に於いては最純亜鉛地金(99.995%)を使用し鉛30ppm以下/カドミウム20ppm以下にする事で、”六価クロム”/”鉛”/”カドミウム”フリーを実現し、EUの設けた環境規制である”RoHS2指令”/”ELV指令”にも適合しています。

スクリーンショット 2021-03-29 14.51.30

さらに、同等の性能を持つ従来パ イプと比べ鋼材の使用量を約4割削減するため、製鉄所での製造工程や出荷運搬時に排出されるCO2等の温暖化ガスも、約4割削減することが可能です。

 参考ブログ: そのめっきパイプ、”環境性能”は大丈夫?!溶融亜鉛めっき鋼板のJIS改正について。

3) 軽量化で作業性にも優れる

既にお伝えしたとおり”STX”はハウス自体の強度を保ちながら、アーチ部分のピッチを拡げたりパイプ自体を細くすることで、ハウスを設置する際の組立作業に於いても効率の向上が見込めます。

STX作業効率アップ

”STX”は、同等の性能を持つ従来パイプと比べて約4割軽量のため組立作業がしやすく、2024年問題で労働力不足が懸念される現状に於いて、作業者の負担軽減や作業時間の短縮にも繋がるといったメリットもあります。

4) 各種加工も対応可能

パイプ同士を連結するための”スエージ加工”や寸法ピッチや位置マークなどを入れる”ピッチマーク加工”を施すことが可能で、農業用ビニールハウスの施工を簡素化することもできます。また、農業用途で最も腐食しやすい地面との境界部分にサビ止め塗料を塗布する”地際加工”も可能です。※一部の加工は外注加工の対応となります。

農業資材加工、スエージピッチマーク地際

破壊試験/曲げ加工実演の動画も

ここまで”STX”が強くてしなやかであることによるメリットをお伝えしてきましたが、一方で業者の方や農家の皆さまの中には、「強度が高いということは、”STX”の曲げ加工は難しいのでは?」との印象をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

当社では、皆さまのそんな不安を払拭するため、現場現物での曲げ加工試験/実演等を通してこの課題に積極的に取り組んでおります。以前、ある九州のお客様の元で曲げ加工試験を実施した際には、「”STX”の方が従来材よりも優れていることを改めて実感しました!」との嬉しい声をいただきました。

こちらのYouTube動画からは、”STX”の強靭さと優れた復元力を証明する破壊試験/曲げ加工実演のダイジェスト映像をご覧いただけます。是非、この機会に皆さまご自身の目でお確かめください!!

“STX”は大臣認定も取得しています

施設園芸の業界に於いて、パイプハウスの耐候性を高めるために”ハイテン鋼”が使用されたハイテン鋼管が採用されるケースは増えています。一般的には”引張強さ”が490MPa(490N/㎟)以上の鋼材と分類される”ハイテン鋼”ですが、”JIS規格”等の統一規格が無く、規格は各社独自の様々な”引張強さ”等の規格が採用されているため、選ぶ際には注意が必要です。

そこで当社のSTX(700N)は、適切な製造体制により一定の品質が確保されているか審査が行われ、以下の表に示されたサイズに関しては、"大臣認定"を取得しています。

STX丸形鋼管の国土交通大臣指定建築材料の認定サイズ

[JP][Blog]大臣認定取得サイズ丸

※着色部は製造可能範囲 ◎印は国土交通大臣指定建築材料の認定サイズ

”大臣認定”は国土交通大臣より認定を受け、一定の品質や安全性を担保された材料です。従って、”大臣認定”を取得した認定サイズの”STX”は、メーカー独自の見解ではなく、公的機関から客観的な評価を受けている材料となりますので、ハイテン鋼管としてその品質と強度は信頼していただけるものとなっています。

 参考ブログ: ハイテン鋼管の基準強度/許容応力度とは?!メリットを産み出す為に必要な正しい知識。

まとめ

今回は、実例や実演した様子を中心に、”STX”の性能についてご紹介いたしました。

”STX”を「現場現物で確認したい」、「試験や勉強会に参加したい」等のご希望がありましたら、以下のご相談フォームよりお気軽にご連絡ください。勉強会はオンラインでも対応可能です。

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最後まで読んでいただき感謝申し上げます。

引続き皆さまへの"為になるお役立ち"に繋がる情報発信を続けて参りたいと思いますので、今後とも宜しくお願いいたします。ありがとうございました。


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