大和鋼管が行うメッキパイプの加工の中でも、特にご依頼数が多い農業用パイプの"スエージ"。メッキパイプ同士を連結させる際にとても便利な加工であり、実は複数の種類があります。
そこで今回は、「"スエージ"とはどんな加工なの?」という方々に向けて、"スエージ"について詳しく解説してみたいと思います。
農業に携わる方々のみならず、さまざまなお客さまが最適なパイプ製品や加工オプションを選ぶ際に、お役立ていただければ幸いです。
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"スエージ"とは圧縮して素材を変形させる加工のこと
"スエージ"とは、素材に圧力を加えて変形させる加工のことです。メッキパイプにおいては、管端やその一部分に圧力をかけて絞ることでパイプの先を細くする加工を指します。管端を細くさせることで、メッキパイプ同士や金具を取り付けやすくする効果があります。
"スエージ"は、英語では"swaging"と表記されます。これは"かしめる"や成形する為の工具そのものを意味する英単語の"swage"からきており、さらに語源を遡ると"飾り溝"や"装飾用の成形物"を意味するフランス語の古語"スワージュ(souage)"に行きつくとされています。
スエージ加工されたメッキパイプは様々な分野で使われますが、我々の周りでは特に農業用ビニールハウスの骨組みとして活用されるケースが多く確認できます。
"スエージ"の種類
メッキパイプの"スエージ"には、"テーパータイプ"、"ストレートタイプ"、"楕円タイプ"の3種類があります。それぞれの違いを見てみましょう。
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"テーパータイプ"
私たち大和鋼管の"スエージ"でメインとなっているのが、"テーパータイプ"です。
管端は緩やかに絞られた形状をしており、パイプ同士を差し込んで簡単に結合できることから、どなたでも扱いやすいのがメリットです。
"ストレートタイプ"
"ストレートタイプ"は、外径が一気に絞られた形状をしています。なだらかに細くなっていく"テーパータイプ"よりも形状の変化が極端といえるでしょう。
その分奥までカッチリと差し込むことができ、さらに差し込む長さが一定になる為、パイプを繋いだ際の誤差が少なくなるという強みがあります。
"楕円タイプ"
"楕円タイプ"は、私たちのグループ会社でベトナムにあるDaiwa Lance International (DLI)が取り扱っている"スーパーカラー"のスエージ形状になります。"楕円タイプ"は結合した後に空回りせずに回転させる事ができるという特徴があり、主に巻き取り軸用のパイプに施されます。
パイプが抜けるのが心配な場合の対処法
"スエージ加工"されたメッキパイプで構造物を作った際、もしパイプが抜けることが心配な場合は、かしめやビス留めを行うと連結が強化されます。
ただし、"ビス留め"を行う場合にはメッキパイプに穴を開けることになるので、ジンクリッチスプレー等で補修を行い、赤サビの発生を予防することをオススメいたします。
"スエージ加工"の流れ
"スエージ加工"はどのように行うのか、その流れについてご紹介します。
当社の"テーパータイプのスエージ"と"ストレートタイプ"のスエージは、下記の図のように8つに分かれたツメで管端を抑え絞る事で加工を行います。
加工を行う上で重要なポイントは、スエージ部が曲がらないようにパイプの中心を把握する事です。スエージ加工は、メッキパイプを繋ぎ合わせるための加工なので、スエージ部が曲がっていると、メッキパイプを上手く繋ぎ合わせる事ができないといった不具合の原因になります。
また、比較的径が小さいサイズや数量が纏まっている場合には、生産効率が良いので造管後の結束前にインラインで加工を実施しますが、径が大きいサイズや数量が少ない場合には、インラインでは生産効率が落ちるので、在庫しているメッキパイプや特寸で準備したメッキパイプをオフラインで加工をしています。
"スエージ加工"を担当する社員のコメント
実際に"スエージ加工"を担当しているメンバーから、加工に関するこだわりや注意点を伺いました。
加工部 藤本さん
"スエージ加工"する原管の本数がそのまま製品の本数になる為、加工は絶対に失敗できません。
作業のポイントは、加工する原管の外径を少し大きめにしておき、徐々に絞っていくことです。一気に絞ってしまうと、絞りすぎた場合に元に戻せませんから、慎重に作業を進めます。
加工部 根本さん
"首曲がり"と呼ばれる不具合がないか、細心の注意を払っています。"首曲がり"とは加工した部分の"首"、つまり付け根の部分がクニャっと曲がってしまう現状のことです。
確認を工夫しながら可能なかぎり"首曲がり"への対応を早くすることによって、不具合の発生を抑えています。
加工部 君野さん
ひとくちに"スエージ加工"と言っても仕様が細かく分かれていますので、お客さまにとってベストな"スエージ"の型を考えております。
例えば、"スエージ"にはO型とK型があります。大きい外径サイズに使われるO型はパイプを差し込んだときに遊びが比較的多くなっていますし、小径管に使われるK型は遊びが少なく、キッチリ嵌まるようになっています。また、中間サイズの場合はO型とK型の両方が使われます。
このように、パイプのサイズによっても"スエージ"の型は異なってきますから、営業担当者を通じてお客さまに用途や目的を確認し、お客さまにとって最適な型を選定させていただいております。
現場には、形状や仕上がり寸法の正確な情報が確実に伝わるように指示書に記載を行っております。
スエージ加工済みの製品紹介
当社のメッキパイプの中で、スエージ加工済みの製品をご紹介します。様々なタイプのパイプをご用意しておりますので、お役に立つ一品がございましたら幸いです。
外径/肉厚 | 1.2 | 1.6 | 1.8 |
25.4 | テーパー | テーパー | |
31.8 | テーパー | テーパー | |
38.1 | テーパー/ストレート | テーパー/ストレート | |
42.7 | ストレート | ||
48.6 | テーパー | ||
SL48.4 | ストレート |
私たちが普段在庫している農業用ビニールハウスのパイプは、"テーパータイプ"となっております。
もし"ストレートタイプ"がご希望であったり、在庫していないサイズで"スエージ加工"が施されたメッキパイプがご入用の場合は、サイズと数量によっては加工可能ですので、お気軽にご相談ください。
まとめ
今回は、大和鋼管が行っているメッキパイプ加工の1つ、”スエージ”について詳しくお伝えさせていただきました。
記事内でご紹介した当社製品のお見積もりは無料で承っておりますので、ご希望の方は以下のフォームからお気軽にお問い合わせください。担当者から折り返しご連絡させていただきます。また、ご質問やご相談も喜んで承ります。
最後までお読みいただき、感謝申し上げます。私たちは引き続き皆さまの"為になるお役立ち"の情報を発信して参りますので、何卒よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
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