2023.07.12

パイプハウスの耐候性や如何に?!鉄骨ハウスとの比較とSTX活用の可能性について。

足元でインフレによって資材が高騰している中、少しでも農業用ハウスの導入コストを抑える為に、”鉄骨ハウス”よりも”パイプハウス”を選ぶ生産者様の割合が増えています。

しかし、”パイプハウス”は”鉄骨ハウス”に比べて強度が落ちるので、「大きな風の力に耐えられないのではないか?」や「どこまでの積雪があっても壊れないの?」と耐候性について不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで今回は、パイプメーカーである私たちの視点で”鉄骨ハウス”と”パイプハウス”の耐候性について比較し、考察した内容についてご紹介させていただきます。

農業用ハウスの分類について

農業用ハウスは、構造に使用される材料や被覆に使用される材料によって、”パイプハウス”や”鉄骨ハウス”もしくは”ビニールハウス”や”ガラス温室”等と、一般的にも様々な名称で呼ばれています。
 
 
[JP]ハウス一覧2023.07.11
 
これらは当社が調べた限りでは、”パイプハウス”は”ビニールハウス”、”ガラス温室”は”鉄骨ハウス”であることが多いですが、ガラスを使わない”鉄骨ハウス”も存在するので、明確に分類が整理整頓されている訳ではありません。
 
農業用ハウスを選ぶ際の構造や被覆材の選択については、目的に応じて望ましい選択肢を業者さまとシッカリ相談/確認した上で、仕様を確定させる事が重要だと思います。

鉄骨ハウスの特徴とは?

”鉄骨ハウス”は頑丈なH鋼や角パイプを使用する為、”パイプハウス”と比べて大きな力に耐えられる事ができるので軒高を高くする等、規模を大きくする事が可能です。
 
軒高を高くする事で、農業用ハウス内の温度調節が制御し易くなる等の栽培環境が良くなる事や、ハウス内の空間が広くなる為に作業性が良くなる等のメリットがあります。
 
鉄骨ハウス
 
 
一方で、”鉄骨ハウス”は”パイプハウス”と比べて資材のコストのみならず、施工期間や確認申請等の手続きの手間が掛かり、おのずと導入コストが高くなる傾向が顕著で、当社の調査によると同等の耐候性でおよそ2倍以上の費用が掛かる場合もある様です。

パイプハウスの耐候性は低いのか?

H鋼や角パイプが材料に使用される”鉄骨ハウス”は、強度が高く規模が大きい為、自然災害に強い (= 耐候性の高い)イメージがありますが、規模が大きくなると加わる力も大きくなるため、必ずしも”鉄骨ハウス”が”パイプハウス”と比較して自然災害に強いとは限りません。

以下は、農業用ハウスに横風が当たった場合の荷重を図に表しました。

 
JP][Blog]横風の力

上記の図を詳しく解説すると、風の力によって各部材には等分布荷重が加わります。そして柱部分にだけ着目すると柱に加わる曲げモーメントは、片持ち梁だと仮定すると柱の高さ/長さの二乗に比例します。

つまり、柱の高さが2倍になると4倍の大きさの曲げモーメントが部材に加わる事になります。その為、”鉄骨ハウス”と比較して小規模な場合が多い”パイプハウス”では、その構造体の規模を勘案すれば、必要十分な耐候性が備わっていると考えられます。
 
このように、農業用ハウスの耐候性を考える場合は、部材の強さだけではなく、柱の高さ等の構造を踏まえた加わる力も考慮して選択する事が重要になります。

STXを活用すれば、より強いパイプハウスの実現が可能。

"STX (エスティーエックス)”は、日本製鉄株式会社と私たち大和鋼管工業株式会社が共同開発した、従来の”パイプハウス”に使われる鋼管に比べ、2倍の強度を持つ高抗張力鋼管です。

従来品であるSTK400の約400N/㎟に比べ、”STX”は700N/㎟以上の高い引張強さを持ち、変形に関しても同等のパフォーマンスを発揮するので、”パイプハウス”の材料として置き換えると、台風/積雪などの自然災害により強い設計が可能になります。

パイプ画像-STX

 

 

当社の”STX”についてご興味のある方は以下のフォームよりお気軽に資料をダウンロードいただければ幸いです。

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まとめ

  今回は、パイプメーカーである私たちの視点で”パイプハウス”と”鉄骨ハウス”の耐候性について比較し、考察した内容についてご紹介しました。

一般的に”パイプハウス”は”鉄骨ハウス”と比べて強度は低いと思われる傾向がありますが、"どのくらいの風に耐えるか?"や"どのくらいの雪に耐えられるか?"等の耐候性については、各部材の寸法やその構造等を加味した上で精査する必要があります。

そして農業用ハウスに最終的に求められるのは、”如何に安くて質の高い作物を、より多く低いコストで生産できるか”です。従って”パイプハウス”と”鉄骨ハウス”は必要十分な耐候性を確保した上で、それぞれでどれだけ多くの質の高い作物を、どれだけ少ない手間や費用で作れるのか、つまり”トータルコスト”を比較する必要がある訳です。

つまり”パイプハウス”でより高い耐候性を実現する構造のみならず、その構造を作るのに掛かる施工性、作られた構造物の中で栽培に適切な状態を確保/維持する効率や、作物を栽培/育成関わる方々のより高い作業性を実現するうえで、当社の”STX”は大きな力を発揮してくれます。

当社の”STX”を使用した”パイプハウス”にご興味のある方がいらっしゃいましたら、当社より農業資材販売店をご紹介する事も可能ですので、以下のフォームよりお気軽にご相談ください。

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最後まで読んでいただき感謝申し上げます。当社は”STX”を活用し更に”為になるお役立ち”を実現すべく情報発信をして参りますので、引続きよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

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