2023.03.15

”STX”の今までとこれから!!大和鋼管が開発してきたハイテンパイプの歴史について。

私たちの”ハイテンパイプ”である”STX (エスティーエックス)”は、2003年の発売開始から進化を遂げ、農業資材を中心に多くの分野に採用される材料になりました。

発売当初は”ハイテンパイプ”がまだ世の中に浸透しておらず、”STX”がお客様に採用される為に、当社で様々な実験を行い認定を取得してきた歴史があります。

今回は、私たちの視点で”STX”の歴史をまとめましたので、ご紹介させていただきます。

STXとは?

”STX”は、同じサイズの従来品と比べて約2倍の強度があるハイテンのメッキパイプです。農業向けの用途を中心にさまざまな分野で構造物の強度向上/コスト削減で活躍しています。
 
Daiwa_tube_ALL_right_2020_03 (1)
 
詳しい製品の詳細は公式HPよりご確認下さい。

参考文献:大和鋼管HP STX

 ①2003年:“ストロング750”の名称で販売開始

2003年の販売当初は引張強度750N/㎟以上の鋼管として“ストロング750”という名称で販売を開始しました。
 

開発当時のカタログ案

[JP][Blog]ストロング750
 

②2004年:STXへの名称変更とNETISへの登録

2004年には更なる普及と安定供給を図る為に製品スペックを見直し、現在と同じ引張強度の700N/㎟以上の仕様へ見直しを行い“STX700”に名称を変更し、”NETIS“への登録を行いました。

 “STX700”が登録された“NETIS”とは国土交通省が運営する新技術情報提供システム (New Technology Information System)です。

掲載当時の登録画面[JP][Blog]NETIS登録画面STX

残念ながらこの“NETIS”に掲載される期間は最長でも有効期限10年となっており、現在は"NETIS"の登録技術として活用はできませんが、掲載当時は新たな技術として広く知られました。

 ”NETIS"についてもっと詳しく知りたい方は以下のリンクをご確認ください。
参考文献:Wikipedia NETIS

③2007年:国土交通大臣指定建築材料の認定取得

2007年の国土交通大臣指定建築材料(大臣認定)として認定を取得しました。

建築基準法で規定されているハイテン鋼材はSS540 (一般構造用圧延鋼材:引張力540N/㎟)が最大で、それより高強度の700N級鋼管の評価に当たり、当時はこれまでにない厳しい審査が行われました。国土交通大臣指定建築材料として認定を受けているサイズは以下の通りです。

 
                                                                        STX丸形鋼管の国土交通大臣指定建築材料の認定サイズ
[JP][Blog]大臣認定取得サイズ丸
 
                                                                      STXR角形鋼管の国土交通大臣指定建築材料の認定サイズ
[JP][Blog]大臣認定取得サイズ角
            ※着色部は製造可能範囲 ◎印は国土交通大臣指定建築材料の認定サイズ
 
STX700”は国土交通大臣指定建築材料として認定を受けた事により、建築基準法の品質に関する技術基準をクリアする材料として建築物に使用可能となりました。

④2017年:“STX780”販売開始

2017年には“STX780”を販売開始しました。以前の“STX700”は肉厚が2.0mm以上のみであり「もっと肉厚の薄いサイズを使用したい」とのお客様からのご要望を聞いて、新たな材料を採用する事で、1.2mm/1.6mmの肉厚を実現しまし、“STX780”と名付けました。
 
 
STXは肉厚が薄くなった事によって、お客様にとってより使い勝手の良いハイテンパイプになりました。

⑤2017年:“STX友の会”発足

"スーパーライト700"をはじめ、STXなどの軽くて強いハイテン鋼管の開発に20年以上にわたり取り組んできました。さらなる施設園芸の発展を願って"STX友の会"を農業資材販売店の皆さまと共に発足させました。

 STX友の会 入会案内

STX友の会_表紙
 
STX友の会が発足した事により、STXを取り扱う業者様のコミュニティが生まれ、さらに全国へ拡販していく事ができました。

⑥2018年:STX業者様説明会を関東と関西の2会場で開催

"STX"を取り扱っていただいている業者様をお招きし、本社工場とDPC関西にてSTK400材とSTX780材の鉛直荷重載荷試験や曲げ加工機の実演を行いました。
 
[JP]STX業者様説明会2023.03.13
 
[JP]曲げ加工機2023.03.13
 

STXの強度を実施の目で確認できる機会は少なく、STX業者様説明会に参加していただいたお客様からも好評で、更にSTXを採用していただく業者様が増えました。

⑦2018年:徳島大学と合同でパイプハウスの強度研究を実施

徳島大学と"ハイテン鋼管を主部材とするパイプハウスの強度評価に関する研究。"をテーマに共同研究を2年間行いました。

[JP]徳島大学共同研究2023.03.14
共同研究を行なった事で、特定のサイズのビニールハウスの強度を数値化する事が可能になり、従来材を使った場合のビニールハウスの強度と容易に比較できるようになりました。

⑧2019年:宇都宮大学 峰キャンパスでのSTX強度試験

宇都宮大学の峰キャンパスにおいて、外径25.4mm x 肉厚1.2mmの”STX”を使用した1mピッチの農業用ビニールハウスに積雪を想定した、おもりを載せる強度試験を行いました。
 
[JP]宇都宮大学実大実験12023.03.13
 
実際の農業用ビニールハウスを想定した実験を行う事により、骨材を限りなく少なくしたビニールハウスでもSTXを採用する事で、十分な強度を保つ事ができるとわかりました。

⑨2022年:宇都宮大学 真岡農場 STXハウス実大強度試験

宇都宮大学の真岡農場に外径31.8mm×肉厚2.0mmの”STX”を用いて、アーチピッチ:0.5m/間口:7.2m/棟高:3.85m/奥行:22m45梁のハウスを設営し、積雪50cmを想定した積雪載荷実験と風速50m/sを想定した風圧載荷実験を実施しました。

[JP] STXハウス実験2023.03.13
 
アーチ材に関してはは想定の1.4倍の載荷を行なっても復元する事が確認されました。現在はこの実験結果を基に耐候性ハウスとしての認定取得を進めています。

まとめ

今回は"STX"の歴史をご紹介させていただきました。歴史を改めて振り返る事で、お客さまのご要望を受けて"STX"は進化しつづけてきた事が分かりました。
 
現在”STX”は農業用ビニールハウスの他にもテント材やシャッター材等の様々な分野で活躍していますが、更に皆さまのニーズを踏まえて、その活用範囲はドンドン広がっていくと我々は考えています。
 
もし、様々な分野で”STX”を使って自社の構造物や製品を強度向上/コスト削減を検討したいという方がいらっしゃいましたら、以下のカタログをダウンロードして頂き、是非参考にしてください。
 
新規CTA
 
最後まで読んでいただき感謝申し上げます。引続き皆さまの"為になるお役立ち"に繋がる情報発信を続けて参りたいと思いますので、今後とも宜しくお願いいたします。ありがとうございました。

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