毎年冬が訪れるたびに、多くの農家さまの頭を悩ませるのが、雪によって"農業用ビニールハウス"が倒壊するリスクです。
雪による"農業用ビニールハウス"の倒壊を防ぐために、こまめな"雪かき"や的確な"補強"などの対策を行う方も多いと思いますが、昨今はそれでも防ぎきれない甚大な被害が全国各地でたびたび発生しています。
そこで今回は、大雪で"農業用ビニールハウス"が倒壊する仕組みと、被害を最小限に抑えるためにできる事前の対策、そして積雪に負けない丈夫な"STXハウス"をご紹介します。"農業用ビニールハウス"の雪害対策の参考としていただければ幸いです。
なぜ積雪でハウスが倒壊するのか?
一般的に"農業用ビニールハウス"の倒壊は、屋根に堆積した雪の荷重や、側面に堆積した雪による側圧、肩部に堆積した雪の沈降圧の力によって、ハウスが圧迫されることが原因です。
![[JP]雪の圧力](https://www.daiwast.co.jp/hs-fs/hubfs/images/blog/%5BJP%5D%E9%9B%AA%E3%81%AE%E5%9C%A7%E5%8A%9B.png?width=600&height=328&name=%5BJP%5D%E9%9B%AA%E3%81%AE%E5%9C%A7%E5%8A%9B.png)
"農業用ビニールハウス"の屋根に雪が降り積もることにより、その荷重でハウスの構造を支えているパイプが、"肩部→屋根中央部→天井部"の順に変形していきます。
![[JP]雪による変形](https://www.daiwast.co.jp/hs-fs/hubfs/images/blog/%5BJP%5D%E9%9B%AA%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%A4%89%E5%BD%A2.png?width=600&height=328&name=%5BJP%5D%E9%9B%AA%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%A4%89%E5%BD%A2.png)
最も曲がりやすい肩部は外側方向に、屋根中央部/天井部は内側方向に変形が起こるため、"農業用ビニールハウス"が上から押潰される様に扁平された形状となり、その重みにパイプの強度が耐えきれず倒壊してしまうのです。
大雪に備える"事前対策"とは?
大雪による"農業用ビニールハウス"の被害を最小限に抑えるためには、降雪前の"事前対策"が重要です。
加温設備での加温

"加温設備"がある場合には、積雪前から"加温"を十分に行うことで、屋根や肩部に積もる雪を"融雪"し、雪の重さよるハウスへの圧迫軽減が期待できます。
"加温"を行う際にカーテン等の内部被覆があると、外部被覆と内部被覆の間が断熱層になってしまうため、内部被覆は可能な限り解放しておくことをオススメします。
スノーポールの活用

既設のハウスに補強を行う場合には、"スノーポール"とも呼ばれる"中柱"の活用が有効です。
"スノーポール"には、ホームセンターやオンラインショップでも手軽に入手しやすい"単管パイプ"を使用することが可能です。
"単管パイプ"を使用した"スノーポール"については過去のブログでも紹介していますので、ご興味のある方は是非以下のリンクよりご確認ください。
ブログ:スノーポールでハウスを補強!?雪害対策にも単管パイプの活用を。
被覆資材を外しておく

また、"農業用ビニールハウス"の内で作物を栽培しておらず付帯設備等の心配もない場合には、"被覆資材"を外しておくことも有効です。
"被覆資材"を外しておくと雪が積もる面積が格段に減るため、ハウスの骨材であるパイプへのダメージを最小限に抑えることができます。
以下は、施設園芸協会がHPに掲載している「施設園芸の被害要因と対策指針」資料に掲載されている降雪前のチェックリストになりますので、よろしければ積雪による"農業用ビニールハウス"の倒壊の予防策としてチェックしてみてください。
リンク:日本施設園芸協会 HP_平成 26 年 2 月の大雪被害における 施設園芸の被害要因と対策指針
強い農業用ビニールハウスを建てる
ハイテン鋼管STX
骨組みとなるメッキパイプや接合金具に、許容できる強度を超えた力が加わると、"農業用ビニールハウス"は変形し倒壊してしまいます。
そこで当社のハイテン鋼管"STX (エス・ティー・エックス)"などの強度の高い部材を使用すれば、許容できる強度が大きく積雪にも強い"農業用ビニールハウス"を設計することが可能です。
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"STX"は、従来材と呼ばれる"STK400"という規格の部材に比べて、約2倍以上の強度を持つ高張力鋼管です。
下記の表の通り、機械的性質である引張り強さ/降伏点又は耐力/伸び及び設計基準強度は、一般鋼管と比べて高く設計されていますので、予測される積雪荷重に対して、少ない本数で効果的に構造を強化することが可能になります。
![[JP][Blog]強度たわみ_02](https://www.daiwast.co.jp/hs-fs/hubfs/images/blog/%5BJP%5D%5BBlog%5D%E5%BC%B7%E5%BA%A6%E3%81%9F%E3%82%8F%E3%81%BF_02.png?width=800&height=236&name=%5BJP%5D%5BBlog%5D%E5%BC%B7%E5%BA%A6%E3%81%9F%E3%82%8F%E3%81%BF_02.png)
STXハウス
"STXハウス"とは、アーチパイプや奥行き直管、筋交といった主用部材に"STX"を使用したパイプハウスです。鉄骨ハウスと同等の強度を保ちながらコストが抑えられるため、業界でも注目を集めています。
![[JP]20220209_Blog_STXハウス[東栄産業]](https://www.daiwast.co.jp/hs-fs/hubfs/images/blog/%EF%BC%BBJP%EF%BC%BD20220209_Blog_STX%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9%5B%E6%9D%B1%E6%A0%84%E7%94%A3%E6%A5%AD%5D.jpg?width=600&height=450&name=%EF%BC%BBJP%EF%BC%BD20220209_Blog_STX%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9%5B%E6%9D%B1%E6%A0%84%E7%94%A3%E6%A5%AD%5D.jpg)
近年の災害激甚化や設備のコスト増、資材の高騰といった背景を受けて当社が開発した"STXハウス"は、積雪50cm及び風速50m/秒に耐える仕様となっています。この"STXハウス"の仕様は"施設園芸協会の安全構造診断"を受診しており、協会から構造計算の理論が認められています。
積雪耐力の高い"STXハウス"について更に詳しく知りたいという方は、以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。
まとめ
今回は、大雪で"農業用ビニールハウス"が倒壊するメカニズムと、被害を最小限に抑えるためにできる事前の対策、そして積雪に負けない丈夫な"パイプハウス"をご紹介しました。
大雪被害は、事前の備えが最も重要です。
一方で、降雪中や降雪後に作業を行う場合には、"農業用ビニールハウス"が倒壊する恐れがありますので、必ず安全を確認してから作業していただくようお願いいたします。
当社のハイテン鋼管"STX"についてご興味のある方がいらっしゃいましたら、以下のお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
私たちは、これからもパイプメーカーの視点で"農業用ビニールハウス"の強靭化に徹底的に取り組み、農家のみなさまへの"為になるお役立ち"を充実させてまいりたいと思います。引続きよろしくお願い申し上げます。
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