建築業界で課題となっている"人手不足"や"資材/燃料費の高騰"の解決策の一つとして軽量単管パイプへ切り替えを行う業者さまが多くなっています。
しかし、肉厚が薄くて"軽い"軽量単管パイプは本当に従来の単管パイプよりも強いのか?不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、私たちの軽量単管パイプ"スーパーライト700"が従来の単管パイプよりも強い理由について詳しく解説します。
スーパーライト700が従来の単管パイプよりも強い理由
軽量単管パイプ”スーパーライト700”は、当社と日本製鉄株式会社が共同開発し”軽量”且つ"強靭”という鋼管の特性としては相反する要素を見事に両立させ軽量単管パイプです。
従来よりも強い素材を採用する事で"スーパーライト700"は、従来の単管パイプであるSTK500に比べて引張り強さを約40%以上向上させながら、厚みを2.4㎜から1.8㎜へ薄くする事で、25%軽量化を実現しました。そのため、現場での作業負担軽減/輸送コスト削減を可能にしています。
種類 |
規格 |
引張強度 |
外径 |
厚み |
単位重量 |
許容応力度 |
断面積 |
断面二次 |
断面係数 |
[N/㎟] |
[mm] |
[mm] |
[kg/m] |
[N/cm2] |
[cm2] |
[cm4] |
[cm3] |
||
従来の単管パイプ |
STK500 |
500 |
48.6 |
2.4 |
2.73 |
23,500 |
3.483 |
9.32 |
3.83 |
スーパーライト700 |
社内規格 |
700 |
48.6 |
1.8 |
2.08 |
32,300 |
2.646 |
7.26 |
2.99 |
引張り/曲げ/圧縮についてくわしく解説
前述した通り、”スーパーライト700”は従来の単管パイプよりも強い素材を採用していますが、「肉厚が薄くなった分、単管パイプ1本としての強度はどうなのか?」について引張/曲げ/圧縮の3つの観点から詳しく解説します。
引張強度
先ずは、単管パイプを下の図の様に"長手方向に引っ張った場合"に耐えられる力を比較してみましょう。
上記の力を単管パイプの"許容応力度"に断面積を乗じて計算すると以下のようになります。
従来の単管パイプ: 許容応力度 x 断面積 = 23,500[N/cm2] x 3.483[cm2] ≒ 82[KN]
スーパーライト700:許容応力度 x 断面積 = 32,300[N/cm2] x 2.646 [cm2] ≒ 85[KN]
”スーパーライト700”と従来の単管パイプを比較すると、”スーパーライト700”の方が約4%の強い引張りの力に耐えられる事がわかります。
曲げ強度
続いて、単管パイプを下の図の様に"長手方向に対して丁度半分の位置に垂直な力である”曲げ荷重”が加わって曲げられる場合"に耐えられる力について比較してみます。
この場合は、先ず”曲げ荷重”とも呼ばれる垂直に加わる力を物体を回転させる力"モーメント"へと変換する必要があります。
単管パイプが耐えられるモーメント、つまり”許容曲げモーメント”に関しては、許容応力度に断面係数を乗じて求めます。
従来の単管パイプ: 許容曲げモーメント[N・cm] = 23,500[N/cm2] x 3.83[cm3] ≒ 90.0[KN・cm]
スーパーライト700:許容曲げモーメント[N・cm] = 32,300[N/cm2] x 2.99[cm3] ≒ 96.6[KN・cm]
比較してみると曲げに関しても、”スーパーライト700”は従来の単管パイプより約7%強い曲げる力に耐えられる事が分ります。
圧縮
最後に、単管パイプを下図の様に"圧縮する場合"に耐えられる力についても比較してみましょう。
圧縮に耐えられる力を計算する為には"座屈(ざくつ)"を考慮しなければなりません。
”座屈”とは、部材に圧縮荷重を加えた際に、ある荷重で急に大きなたわみを生ずる現象です。
”座屈”の強度は幾何学的な形状により決まり、"オイラー座屈荷重の式" により求めることができます。"オイラー座屈荷重の式"については、以下のサイトで詳しい解説がありますので、参考にしてください。
リンク:建築学生が学ぶ構造力学_構造力学の基礎_座屈とは?座屈荷重の基礎知識と、座屈の種類
"オイラー座屈荷重の式"を基に”スーパーライト700”と従来の単管パイプの座屈強度を下記のグラフで表してみました。
スーパーライト700と従来単管パイプの座屈強度比較
比較すると上記のグラフより”スーパーライト700”の座屈強度の理論値は、座屈長さが約70cm以降で”スーパーライト700”と従来の単管パイプの座屈強度が逆転していることが分かります。
これは座屈長さが長ければ長いほど材料強度の影響が小さくなり、断面積や断面二次モーメントなどの断面力による影響が大きくなるためです。
”スーパーライト700”の座屈強度に関しては、過去に仮設工業会で行なった6層3スパンの実大実験とその考察をご紹介したブログもありますので、さらに詳しく知りたいという方がいらっしゃいましたら、以下のリンク先の内容を参考にして下さい。
リンク:大和鋼管ブログ_スーパーライト700の座屈強度は大丈夫?!単管足場として実大実験の結果と考察について。
スーパーライト700は国産で、販売実績No.1
”スーパーライト700”は1996年の販売開始以来約46万トン、本数にすると約8,300万本の累計販売実績があり、最も多くのお客さまにご愛用いただいている私たちが自信を持ってオススメできる軽量単管パイプです。
従来の単管パイプと一本当たり同じ価格で販売されている”スーパーライト700”ですが、この実績を積上げていく背景には当然それを裏付ける具体的な経済的メリットと、より早く着実にお客さまの”為になる”製品/サービスを満足する価格/コストでお届けする当社としての様々な創意工夫が存在します。
まとめ
今回は、軽量単管パイプ”スーパーライト700”が従来の単管パイプよりも強い理由について詳しく解説しました。
当社の”スーパーライト700”は、長さに依存する"圧縮"を除いた"引張"と"曲げ"に関して、従来の単管パイプより高い強度設計を行い、従来品にくらべても十分に安全/安心に使用できる軽量単管パイプとなっています。
一方で”圧縮強度”についても、必要十分な実証実験を仮設工業会で行って労働安全衛生規則の適合という安全基準をクリアし、”軽い”を実現する為の”強い”をシッカリ確保していますので、生産性の向上や輸送効率の改善、更には環境負荷の軽減に存分に活用頂ければ幸いです。
”スーパーライト700”の見積もりが欲しいという方がいらっしゃいましたら、
最後まで読んでいただきありがとうございます。引続き、皆様の"為になるお役立ち"に繋がる情報発信を続けて参りたいと思いますので、今後とも宜しくお願いいたします。
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