単管パイプには、2種類の厚みがあることをご存知でしょうか?
実は単管パイプの肉厚には2.4mmと1.8mmがあり、特徴が異なっています。単管パイプを使用する際に、どちらを選べばいいのか迷ってしまう方も少なくありません。
そこで今回は、肉厚2.4mmと1.8mmの単管パイプのそれぞれの特徴や二種類の厚みがある理由などについて、図や表を用いてわかりやすく解説していきます。単管パイプを購入する際の参考にしていただければと思います。
なぜ単管パイプに2.4mmと1.8mmの2種類の厚みがあるのか?
主に建築現場において足場用の資材として使われている"単管パイプ"は、もともと肉厚2.4mmで製造されていましたが、1996年に軽量化を目的として、強度の高い素材を活用して厚みを薄くした製品が開発されました。
当時も今ほどではないものの、現場作業員の高齢化や輸送コストの上昇が課題となっており、軽くて作業効率の高い単管パイプが求められていたためです。
単管パイプの直径自体は"JIS規格"(日本産業規格)で48.6mmと定められており、クランプ等の連結部品との互換性を維持した上で軽量化するために、厚みを薄くするという方法がとられました。
実は、1.8mmの単管パイプの普及は、当社の製品である軽量単管パイプ"スーパーライト700"がきっかけなのです。
当社が、現在"日本製鉄株式会社"になった当時の"新日本製鐵株式会社"と、共同で"スーパーライト700"を開発したことで肉厚1.8mmの単管パイプが世に出始め、現在では同業他社の製品も登場し、単管パイプは2.4mmと1.8mmの二種類が流通するようになったのです。
2.4mmと1.8mmの単管パイプは何が違う?それぞれの特徴
この項では、単管パイプの厚み毎の特徴について解説していきます。
2.4mmの単管パイプの特徴
単管パイプはもともと全て肉厚2.4mmで製造されていたため、この肉厚が基本になっています。
厚みがあり、パイプカッターでの切断や穴開け加工等をおこなう際、刃やビスが食い込みやすいのが特徴です。
肉厚が厚いため、長さが長くなるとそのぶん重くなるのがネックですが、一方でスパンが増えてもたわみづらく美観を損ねないというメリットもあります。
当社が製造している肉厚2.4mmの単管パイプは、全て"足場管"仕様となっています。使用されている鉄はJIS規格で定めるJIS G 3444(一般構造用炭素鋼鋼管)"STK500"に適合しており、足場や仮設部材用の製品ですので、DIY等の用途にも安心してお使いいただけます。
肉厚2.4mmの単管パイプの特徴をまとめると、以下のようになります。
- 肉厚2.4mmはJIS規格にも定められている足場管の基本となる肉厚で安心
- 厚みがあるぶん刃やビスが食い込みやすく、穴あけ加工やビス打ちがしやすい
- 長さが長くなるほど重くなるが、たわみづらいというメリットがある
1.8mmの単管パイプの特徴
従来の単管パイプよりも厚みが薄くなったぶん、重量が軽くなっているのが特徴です。1mの重量が2.08kgであり、持ち運ぶ際などの負担が比較的少ないため、単管パイプでDIYを行う場合にはぴったりの製品です。
「薄くなったぶん、壊れやすいのでは?」と思われるかもしれませんが、実際は軽仮設資材の足場管として使用できる様に、素材である鉄鋼の強度がアップした製品が多いです。
たとえば、当社の肉厚1.8mmの単管パイプである"スーパーライト700"では、2.4mmの足場管より25%軽いですが、"鋼管をどれくらいの力で引っ張ると切れてしまうのか"を示した"引張り強さ"は40%高くなっており、軽くて丈夫なパイプだといえます。
"スーパーライト700"は、厚生労働省が定めた"労働安全衛生規則"に適合しておりますので、安全/安心して様々な用途にお使いいただけます。また、防錆性も高いため、庭や畑といった屋外での使用にも適しています。
強度が高い一方で、2.4mmの単管パイプよりもたわみやすい点には注意が必要です。たわみは長さが長いほど大きくなるため、5mや6mといった長い単管パイプを使って作る構造物のたわみが気になる方は、2.4mmの単管パイプとたわみ具合を比較した上で選んでいただくことをおすすめします。
なお、ホームセンターで一般的に取り扱っている単管パイプは最長で4mであり、4mであればたわみの程度はさほど気にならないと考えます。
肉厚1.8mmの単管パイプの特徴をまとめると、以下のようになります。
- 肉厚1.8mmは重量が軽く、素材の強度がアップした製品が多い
- 穴あけ加工やビス打ちは少しやりにくいが、切断の際には早く切れる
- 軽量化されており長くても扱いやすいが、肉厚2.4mmよりたわみやすい
単管パイプでDIYするなら2.4mmと1.8mmのどっちを選ぶ?
DIYにオススメなのは、1.8mmの単管パイプです。軽くて耐久性のある軽量単管パイプは、屋外に置く制作物をDIYで作成する場合にも向いています。
強度については1.8mmの方が優れていますが、2.4mmは穴開け加工がしやすいという面があるため、加工性重視であれば、2.4mmの単管パイプも選択肢になり得ます。
単管パイプ2.4mmと1.8mmのDIY作業を動画で比較!
単管パイプのDIY情報を数多く発信なさっている"株式会社ジョイント工業"さまが、実際に当社の単管パイプを使った比較動画を投稿してくださいました。
比較ポイントは4点で、結果は以下のようになっています。
- 重量:1.8mmのほうが軽い
- パイプカッター切断:1.8mmのほうが早く切れるが、2.4mmは食い込む感触がある
- 単管パイプ用ジョイント"かん太"締め付け:どちらも優劣なし
- ドリルビス穴開け加工:2.4mmのほうが穴開けしやすい
詳しくは、ぜひ以下の動画をご覧ください!
動画:単管パイプ2.4mmと1.8mmを比べてみました
投稿者:株式会社ジョイント工業さま
市販の単管パイプ用金具は1.8mmにも使っていい?
「市販の単管パイプ用金具は1.8mmの単管パイプでも使えるの?」と不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、ジョイント金具や単管クランプは1.8mmの単管パイプにもお使いいただけます。
使用にあたり大きな問題はありませんが、単管パイプの内側に差し込むタイプのジョイント金具では、多少のガタつきが発生することがあります。
これは、2.4mmの単管パイプではサイズが外径48.6mm/内径43.8mmなのに対し、1.8mmの単管パイプは外径48.6mm/内径45.0mmと、内径に1.2mmの差があるためです。
DIY制作物等に於いてガタつきは気にならない程度であることが殆どかと思われますが、ガタつきの発生が好ましくない場合には、内側に差し込まずに使用できるタイプの金具を選択するといった方法もあります。
1.8mmの単管パイプとジョイントのガタつきについては以下の記事に詳しく記載されていますので、ご興味がある方はこちらをご覧ください。
ブログ:スーパーライト700に最適なジョイントはドレ?ガタつきをなくすジョイントの選択。
2.4mmと1.8mmの価格はどちらが安いのか?
単管パイプの価格については、絶対的な基準はありません。製造メーカーや製品を購入する場所によって変わりますので、状況に応じ購入先を比較・検討することをおすすめします。なお当社の"スーパーライト700"は、基本的にメートルあたりの価格を当社の製造する2.4mmの単管パイプと同価格に設定しています。
つまり単管パイプの厚みが1.8mmでも2.4mmの場合でも、長さが同じであれば一本あたりの値段は原則同じになり、軽量化のメリットをフルにお客さまにお届けしている訳です。
単管パイプはどちらもホームセンターやECサイトで購入可能
手に入りやすさはどちらの肉厚もあまり変わらない認識ですが、ホームセンターは基本どちらか片方の肉厚の単管パイプしか置いていないのが一般的です。
一般のみなさまが単管パイプを気軽に買いたいときは、ホームセンターがおすすめです。実際に現物を見ながら選ぶことができるほか、店舗によっては単管パイプの切断やトラックの貸出などのサービスを行っているところもあります。
さらに、店頭で購入し自身で持ち帰る場合には、追加の配送コストがかからないぶん、比較的安価に製品を購入することが可能になります。また、以下のようなECサイトからも単管パイプを購入することができます。
ECサイトでの購入の際は、配送コストが上乗せされるぶん店頭価格よりは高価に感じるかもしれませんが、購入や引き取りにかかる手間が少なく、お手軽に入手できる点が大きなメリットとなっています。
単管パイプの購入方法については以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひ併せてご参考にしてください。
ブログ:単管パイプは何処で買う?ニーズに合った購入方法の選び方。
1.8mmの単管パイプを選ぶときの注意点
肉厚1.8mmの軽量単管パイプには、引張り強度が700N/㎟であることを表現する"STK700"という表記がされている場合がありますが、JIS規格で定めるJIS G 3444(一般構造用炭素鋼鋼管)には、"STK700"は含まれていません。
そのため、実際に人が乗る足場や一定規模の仮囲いなどの仮設資材を作りたい場合は、労働安全衛生規則で定められている"JIS規格以外で使用する場合の規定"に適合しているかどうかを確認する必要があります。
(鋼管足場に使用する鋼管等)
第五百六十条 事業者は、鋼管足場に使用する鋼管のうち、令別表第八第一号から第三号までに掲げる部材に係るもの以外のものについては、日本産業規格A八九五一(鋼管足場)に定める単管足場用鋼管の規格(以下「単管足場用鋼管規格」という。)又は次に定めるところに適合するものでなければ、使用してはならない。
一 材質は、引張強さの値が三百七十ニュートン毎平方ミリメートル以上であり、かつ、伸びが、次の表の上欄に掲げる引張強さの値に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる値となるものであること。
引張強さ(単位 ニュートン毎平方ミリメートル) | 伸び(単位 パーセント) |
三百七十以上三百九十未満 | 二十五以上 |
三百九十以上五百未満 |
二十以上 |
五百以上 |
十以上 |
二 肉厚は、外径の三十一分の一以上であること。
2 事業者は、鋼管足場に使用する附属金具のうち、令別表第八第二号から第七号までに掲げる附属金具以外のものについては、その材質(衝撃を受けるおそれのない部分に使用する部品の材質を除く。)が、圧延鋼材、鍛鋼品又は鋳鋼品であるものでなければ、使用してはならない。
(引用元:昭和四十七年労働省令第三十二号労働安全衛生規則)
なお前述のとおり、当社の軽量単管パイプ"スーパーライト700"は労働安全衛生規則に適合しており、安全/安心して仮設資材としてもご活用いただけます。
一覧表で見る2.4mmと1.8mmの特徴まとめ!
ここまでに解説した2.4mmと1.8mmの単管パイプそれぞれの特徴を、以下の表にまとめました。
2.4mmの単管パイプ | 1.8mmの単管パイプ | |
外径/内径 | 外径48.6mm/内径43.8mm | 外径48.6mm/内径45.0mm |
1mあたりの重量 | 2.73kg | 2.08kg |
たわみ方 | たわみにくい | 2.4mmと比べるとたわみやすい |
JIS規格 | JIS G 3444(一般構造用炭素鋼鋼管)"STK500"に適合 | JIS規格は該当条件がないが、"スーパーライト700"は"労働安全衛生規則"に適合 |
価格 | 購入条件による | 購入条件による |
購入方法 | ホームセンターかECサイト | ホームセンターかECサイト |
加工 | 穴あけ/ビス打ちがしやすい | 早く切断できる |
単管パイプ用の金具 | 問題なく使用できる | 使用できるが、金具によっては多少のガタつきが発生する場合もある |
ぜひ単管パイプの厚みを選ぶ際の参考にしていただければと思います。
まとめ
今回は、DIY等にも活用する単管パイプに肉厚2.4mmと1.8mmの二種類があること、そしてそれぞれの特徴や違いについて動画や表を交えて解説させていただきました。
使用する用途や好みによって肉厚を選び分けていただければと思いますが、迷うようであれば、軽量で取り扱いがしやすくより安全な1.8mmがおすすめです。
”スーパーライト700”のさらに詳しい資料は以下のページからダウンロードできますので、こちらもぜひご活用ください。
また、単管パイプについて何かご質問やご相談などがありましたら、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。- タグ:
- 単管パイプ/足場管