2023.01.25

"単管パイプ"の"強度"の目安は?!設計の目安となる"引張り"と"曲げ"それぞれの具体例について。

"単管パイプ"は応用性が高い建材である為、建築現場を支える"単管足場"という専門性の高い用途から、ご家庭でDIYで製作する工作物等の用途で広く活躍しています。

しかし、単管パイプの"強度"について知識がない方にとっては、工作物が「安全に利用できる強度になってるの?」、「人が乗っても大丈夫なの?」と不安に思われる方もいらっしゃると思います。

そこで今回は、単管パイプの"強度"について詳しく解説し、設計の目安となる具体例をご紹介させていただきます。

 
 
 

 

今回検証で利用した製品はこちら

パイプ画像-SL700

今回検証で利用した"軽量単管パイプ"は、当社の"スーパーライト700"です。

"スーパーライト700"は、当社と日本製鉄株式会社が共同開発した"軽量単管パイプ"で、従来管の"STK500"よりも25%軽くなっておりますが、他メーカーの製品と比べて最も粘り強く加工性の良い、"強靭"な"軽量単管パイプ"です。

実際の他社製品との比較については以下のリンクより詳細をご確認いただけますので、ご興味がありましたらぜひご覧ください。

 リンク:なるほど!!強くても伸びがあるのが”強靭”。軽量足場スーパーライト700の優位性。(^_^)v

当社の足場管カタログが必要な方は、以下のフォームよりカタログをダウンロードしていただけますのでご活用ください。

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単管パイプの性能について

"単管パイプ"には、"ポストジンク"や"ドブメッキ"、"先メッキ"等の様々な種類の呼び名がありますが、これらの呼び名はメッキ製法によるもので、"強度"に関する性能は基本的に"700N級の軽量単管パイプ"若しくは"STK500の単管パイプ"の2種類になります。

種類

規格等

寸法
φ外径(mm) x 厚み(mm)

標準重量(kg/m)

断面積A(cm2)

断面二次
モーメントI(cm4)

断面係数Z(cm3)

許容応力度
(N/cm2)

軽量単管パイプ

700N級

φ48.6 x 1.8

2.08

2.65

7.26

2.99

32,300

単管パイプ

STK500

φ48.6 x 2.4

2.73

3.48

9.32

3.83

23,500

※"軽量単管パイプ"の許容応力度は、"スーパーライト700"の値を引用

"許容応力度"とは、"単管パイプ"を使った構造物の"強度"を計算するうえで使用する応力の限界点です。

"軽量単管パイプ"は高張力鋼を使用する事で、"STK500の単管パイプ"よりも"許容応力度"が高く、厚みを薄くする事で標準重量をおよそ25%軽量化した製品仕様となっています。

単管パイプの強度について

"単管パイプ"で作った工作物が、"安全に利用できる強度になっている"ことを確かめる基本的な考え方としては、①"単管パイプ"に加わる力やモーメントと②"単管パイプ"が耐えられる力やモーメントをそれぞれ計算し、①が②を超えない事を確認する必要があります。

実際にお客さまが作製された工作物が"安全に使用できるか?"については、強度のみならず形状や使用方法等の設計による影響が大きいので、一概にお答えすることはできませんが、以下の引張り/曲げを想定した場合、単管パイプがそれぞれどのくらいの荷重に耐えられるか具体例をご紹介します。

引っ張られる力

先ずは"単管パイプ"を、以下の図の様に長手方向に引っ張った場合に、"どのくらいの力まで耐えられるか?"について考えてみましょう。

 

[JP][Blog]引っ張り

 

この場合は、使用する"単管パイプ"の長さに関わらず、"単管パイプ"が耐えられる力をあらわす"許容引張荷重"は、以下の計算式により求められます。"軽量単管パイプ"の場合は85.6[KN](約8.7t)、STK500の"単管パイプ"の場合は81.8[KN](約8.3t)となっています。

 許容引張荷重[N] = 許容応力度[N/mm2] x 断面積A[cm2]

曲げられる力

次に"単管パイプ"を以下の図の様に、長手方向に対して丁度半分の位置に垂直な力である曲げ荷重が加わって曲げられる場合には、"どのくらいの重量まで耐えられるか?"について考えます。

 

[JP][Blog]曲げ

この場合は、先ず垂直に加わる力(曲げ荷重)を以下の計算式で物体を回転させる力"モーメント"へと変換します。

"単管パイプ"に加わるモーメント[N・cm] = 曲げ荷重[N] x 単管パイプの長さ(支点間距離) ➗ 4 

続いて、"単管パイプ"が耐えられるモーメントである"許容曲げモーメント"は以下の計算式で求められます。"軽量単管パイプ"の場合は96.6[KN・cm](約9.8t・cm)、STK500の"単管パイプ"の場合は90.0[KN・cm](約9.1t・cm)となります。

許容曲げモーメント[N・cm] =  許容応力度[N/mm2] x 断面係数Z[cm3]

ここで、各種類の"単管パイプ"の長さ毎に、"許容曲げモーメント"と"単管パイプに加わるモーメント"が等しくなる"最大曲げ荷重"を[kg]の単位に変換して以下の表に整理しました。

種類 長さ(支点間距離)
1m 2m 3m 4m 5m 6m
軽量単管パイプ 384kg 192kg 128kg 96kg 77kg 64kg
単管パイプ 364kg 182kg 121kg 91kg 73kg 61kg

まとめ

今回は、"単管パイプ"の"強度"について詳しく解説し、設計の目安となる具体例をご紹介しました。

設計の目安を知る事で、"単管パイプ"で作製した工作物をより安全/安心に使用できるようになりますので、今回ご紹介した記事を設計の参考にしていただければ幸いです。

このブログの内容をホワイトペーパー形式にまとめた資料もご用意しましたので、こちらもぜひご活用ください。

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また、"スーパーライト700"に関しては、"ヤング係数"や"剪断弾性係数”を含む鋼材の材料定数及び、引張/圧縮/曲げと剪断の値を含む鋼材の許容応力度などをまとめた資料もございますので、こちらもご参照ください。

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最後まで読んでいただき感謝申し上げます。引続き、皆様の"為になるお役立ち"に繋がる情報発信を続けて参りたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。


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