2023.04.26

単管パイプで作った物干し小屋をリノベーション!!大型DIYでのコストメリットや如何に?

これまで当社では”単管パイプ”を使って棚をDIYしたり、そのDIY作品のメンテナンスの様子をブログでご紹介したりしてきましたが、コストメリットを引出せる”単管パイプ”を使った大型のDIY作品の製作には今まで挑戦できていませんでした。

そこで今回は、我々が”単管パイプ”を使って大型作品として”物干し小屋”をDIYした様子をレポートさせていただきます。製作の流れや実際にかかった費用及び道具の使い方など、ぜひ皆さんの今後のDIYの取組のご参考にしていただければ幸いです。

 
製品資料ダウンロード/足場管SL 
 

当社の社宅"親和寮"の物干し小屋のリノベーションにDIYで挑戦!!!

当社には独身男性社員向けに"親和寮"という社宅があり、その敷地内の一角に布団などの大きな洗濯物を干すための”物干し小屋”があります。

いつ誰がどのように作成したのか定かでないほど年季が入ったこの小屋は、今なお洗濯物を干す場として寮生に使用されているのですが、屋根も外れて雨ざらしでパイプも錆だらけになっていたので、これを機会に使いやすくリノベーションすることにしました。
 [JP]旧物干し小屋1
元々”単管パイプ”などを活用して作られていた”物干し小屋”だったため、使えるパーツを再利用するといった案も出ましたが、確認したところどのパイプも内面まで赤錆が発生しており、再利用は難しい状態でした。そのため、今回は全く新しく作り直す方針となりました。

加えて”親和寮”には駐輪スペースが設置されておらず、これ迄は仕方がないので外階段の下に停めてある状態で、雨が降ると濡れてしまっていました。


[JP]自転車1
そこで「せっかくなので自転車を置く駐輪スペースも作りたい!」と声があがり、今回のリノベーションでは、”物干し小屋”の片側に”サイクルポート”も追加してみようとの方針が固まりました。

単管パイプで作った小屋は違法なのか?

ここまで読んだ皆さまの中には、「単管パイプで作られた大型の小屋って、法律面では大丈夫なの?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。

近年、DIYの動きが活発になったことで大型の作品が作られる機会も増えていますが、大型の作品は設置の仕方や面積、設計によっては建築基準法に違反する可能性があるため注意が必要となります。

DIY工作物が建築物に含まれる例としては、土地に置かれている製作物が容易に動かせない状態になっており、かつ以下に該当するものが挙げられます。

  • 屋根と柱があるもの
  • 屋根と壁があるもの
  • 建築物にくっついた門や塀

具体例としては、屋根と壁がある小屋や物置、屋根と柱のあるウッドデッキやガレージ、住宅にくっついている門などです。

今回の”物干し小屋”については屋根と柱がある造りになっているものの、小屋自体は地面等に固定されておらず”単管パイプ”を組んで置いてあるだけの状態、つまり容易に動かすことができるため、”建築基準法”の定める建築物には含まれず、法律に抵触しないことになります。

DIY作品が建築物にあたるかどうか迷ってしまう場合は、お住まいの地域の自治体にご確認いただくことをオススメします。またどうしても建築物をDIYで作りたいという場合は、自治体と協議していただいたうえで、必要に応じて”建築確認申請”を行いましょう。

DIY作品と建築基準法の関係について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

 ブログ:DIY作品が違法建築物に?!知っておきたい建築基準法の基礎知識。

寸法を測り設計図を描く

ここからは、リノベーションにあたって実際に行った工程をご紹介していきます。

先ず我々は元々あった”物干し小屋”の寸法を測り、その寸法をベースに設計図を描きました。設計図を描く際は、完成形をイメージしやすいように大まかに縮尺を合わせておくのがポイントです。

[JP]物干し小屋設計図

設計イメージ部材値段なし
また今回は、大体のサイズ感を把握するための設計図(画像上)に加えて、細かい部材を把握するためのイメージ図(画像下)を作成しました。

2つに区切られた”物干し小屋”内部のうち、片方は”物干しスペース”、もう片方は”サイクルポート”にします。”物干しスペース”の方は日差しと風が入り乾きやすいようにクリア素材の屋根のみ、”サイクルポート”の方は雨風が入りにくいように、屋根と壁を取り付けていくことになりました。

必要な部材を確認するうちに少しずつサイズ感などが変化し、数回設計図を書き直すことになりました。書き直していると徐々に部材の数や大きさ、価格などが具体的にわかってきて、DIYをしている実感でワクワクしてきました。

この作業の結果としてある程度の予算も算出できるようになったので、大型の製作物を作る際には、この時点で必要な部材をある程度ピックアップしておくのがおすすめです。

設計図の詳しい書き方について気になる方は、以前に提供させて頂いた以下の記事もご参照ください。

 ブログ:設計図の書き方を初心者にもわかりやすく解説!!単管パイプで楽しくDIYするのに必要なこと。

必要部材の買い出しとその費用

設計図から今回必要となる部材の種類と数がわかりました。”単管パイプ”とパイプ以外の部材を合わせた材料費の合計は、およそ10万円です。

このサイズ感の”サイクルポート”を調べてみると、柱と屋根のみのタイプが工賃込みで10万円、壁で囲ってあるタイプだと工賃込みで30〜50万円ほどとなるようです。壁で囲ってあるタイプの”サイクルポート”と比べると3分の1程度の価格で済むことがわかりました。

このような大型の制作物では、”単管パイプ”を使ったDIYのコストメリットが大きく感じられますね。

サイクルポート-1

とはいえ、すごい種類と数の部材が必要であり、此等を揃えるのは正に一苦労です。ホームセンターでの取り寄せなどを活用しつつ、なんとか材料を揃えることができました。

一部の部材がなかなか見つからず、全ての部材を揃えるまでに三件のホームセンターをはしごすることになりましたが、ひとまず買い出しが半日で済んで安心しました。

DIYにもオススメの軽量単管パイプ"スーパーライト700"

パイプ画像-SL700

DIYのパーツとして使用する”単管パイプ”は、当社の"スーパーライト700"がオススメです。"スーパーライト700"は当社と日本製鉄株式会社が共同開発した”軽量単管パイプ”で、従来管のSTK500よりも25%も軽くなっておりますので、DIYパーツとしても扱いやすい製品です。今回のDIYでも、”単管パイプ”は"スーパーライト700"を使用しています。

スーパーライト700資料

強度の高い素材を使っているので荷重に対する耐久性も抜群で、実際に建設/建築工事の現場の仮設足場としても数多く採用されています。ホームセンターやECサイトで簡単に手に入りますので、DIYの際はぜひ試してみてください。

"スーパーライト700"を販売しているホームセンターについては、以下の記事をご参照ください。

 ブログ:スーパーライト700がすぐ欲しい!!取扱いのあるホームセンターのご紹介。

解体・組み立て作業の流れ

午前中に買い出しを済ませ、午後からの作業は主に5名の当社社員で行いました。作業日は快晴で気温も上がったため、こまめに休憩を挟みながら作業を進めました。皆さまもDIY作業を行う際は、熱中症対策としてこまめな休憩と水分補給をお忘れなく。

物干し小屋の解体

最初に取り掛かったのは、元々あった”物干し小屋”の解体作業です。パイプを接合している金具を緩めて外し、パイプを少しずつ取り除きます。この時、下部の金具から外していくと上部が不安定になり小屋が倒れる可能性があるため、できるだけ上のパーツから分解するようにしました。

錆びた小屋

金具もかなり古くなっており錆がひどかったため外せるか心配していましたが、問題なく外すことができました。金具が錆びついていて外せない場合は、”パイプカッター”でパイプを切断しながら解体する想定でしたが、時間がかかってしまうため最後の手段でした。すんなり外せてよかったです。

解体作業が済んだら、周囲の落ち葉や砂を箒で掃いてきれいにします。ここまでで40分ほどかかりました。

物干し小屋解体後-1

骨格の組み立て

解体と清掃が済んだら、いよいよ新たな小屋を組み立て始めます。

まずは”ボンジョイント”でパイプを繋いでいく作業です。この小屋の長辺にあたる5.5mの部分は、2mと3.5mのパイプを”ボンジョイント”で繋ぐ設計としてあります。

一般的に、ホームセンターで扱われている”単管パイプ”の長さは5m以下であることが多いので、今回のように5m以上の長さの”単管パイプ”を使いたい場合には、”ボンジョイント”などで二本のパイプを連結して一本として使うこともできます。

仮組み

次に、柱を立てるおおまかな位置に”ジャッキベース”を配置し、柱と下段/中段で使用する”単管パイプ”を使う場所に置きました。その上で”単管パイプ”の端面に、雨などによる内面赤錆を防ぐための”単管キャップ”を装着してから、”ジャッキベース”に”単管パイプ”を立て、柱と下段/中段の”単管パイプ”を単管クランプで仮固定しながら小屋の骨格を組み立てました。

”ジャッキベース”に”単管パイプ”を立ててあるだけの状態では、”単管パイプ”が倒れる危険もあるため注意が必要です。この日はほとんど風はありませんでしたが、風が強く吹いている日には、”単管パイプ”一本につき1人の支える係を作るなどして、安全を確保したうえで作業を行うようにしてください。

上部組み立て

上部のパイプを仮組みで固定して骨格の組み立てが完了したら、水平器を用いてパイプ位置を微調整しながら”単管クランプ”をラチェットレンチによって本締めしていきます。

本締めが終わったら小屋の骨格の完成です。

”単管パイプ”を使ったDIYでよく登場する、”ボンジョイント”と”ジャッキベース”と”クランプ”の使い方を50秒弱の短い動画でまとめましたので、ご興味がある方はこちらの動画もご参照ください。

波板で壁の作成

壁の部分は、小屋の骨格となるパイプに”垂木止めのクランプ”を取り付け、垂木を”垂木止めクランプ”にビスで固定し、垂木に波板ビスで波板を張っていく作業となります。

波板周辺解説

水平器で曲がっていないことを確認しつつ、端から垂木と波板を固定していきます。両端の垂木以外では、波板の端を重ねながら二枚分の波板を垂木に波板ビスで留めました。

波板の重なり

波板で屋根の作成

壁の取り付けが済んだら次は屋根となる波板を取り付ける作業です。

屋根は勾配となっていて、高い方では2.5mと結構な高さになっています。そのため、壁と同じ手法で屋根を取り付けるのは難しいと判断し、先に地面に置いて波板と垂木を波板ビスで固定したものをロールケーキのように巻いて屋根に持ち上げ、垂木と”垂木クランプ”をビス止めしていく方法で作業を進めました。

屋根取り付け

持ち上げる段階では最後の波板とその両端の二本の垂木だけは固定しないでおき、屋根に乗っている分の垂木の固定が全て終わってから、位置を調整しつつ固定しました。

ついに完成‼︎

日も落ちかけた頃、作業者全員がへとへとになりながら、ついに”物干し小屋兼サイクルポート”が完成しました。作業時間は、休憩時間も含めて約5時間です。

小屋ビフォーアフター

赤錆だらけだった小屋が立派に生まれ変わりました。”単管パイプ”で骨格を作ったことで、パイプ部分に人がぶら下がってもびくともしないほど丈夫です。

設計図を見直した甲斐もあって、物干し台としての高さもバッチリで、作業がしやすく改善できたことも今回のリノベーションの成果です。

単管キャップ

全ての”単管パイプ”の端面に”単管キャップ”を取り付けたことで、外見的なアクセントとなるだけでなく、パイプ内面の赤錆防止も期待できます。

もしかすると、次回この”物干し小屋兼サイクルポート”のリノベーションをDIYで行う時には、リユースできるパイプもあるかもしれませんね。

苦労して制作した分、やはり愛着が湧いてきます。

小屋使用

後日、”サイクルポート”として使用している様子を撮影してもらいました。以前作成した棚もこの”物干し小屋兼サイクルポート”の中に移動させて、自転車用品の小物置き場として使ってもらっています。

今回のDIYの反省点

一通りの作業が終了したところで、今回のDIYの反省点を書き出していきます。

作業者に設計図の共有ができていなかった

事前に設計図の共有ができていなかったことで、作業者に"ここの長さは何mだっけ?"、"ここはパイプが入る?入らない?"といった混乱が生じてしまいました。作業者が複数名になる今回のような場合は、事前に設計図等の情報を共有してイメージを把握してもらうことで、よりスムーズに作業が進めることができたと思います。

壁の波板がイメージより大きかった

今回は壁に7尺の波板を使用していますが、屋根を取り付ける際に、壁の波板が屋根に干渉してしまうことが判明しました。干渉してしまう部分を切り取ることで対応しましたが、風の通り道を作るという意味でもサイズを下げた波板を使用してもよかったのかもしれません。

壁波板上部

 

屋根の波板が弛んでしまった

屋根は壁のように一枚ずつ波板を張ることができなかったためか、一部に弛みが出てしまいました。垂木自体が真っ直ぐではないものもあるので、そういった歪みが出てしまったのだと思われます。

我々も波板や垂木など、”単管パイプ”以外の扱い方については勉強不足である事を痛感しました。このままだと強度が足りず屋根が剥がれてしまう可能性があるため、母屋を入れたり波板ビスを増やしたりするなどの補強をしたほうがいいかもしれません。

屋根波板のたるみ

 

余りの部材が出てしまった

設計図の段階では垂木は45cmピッチで入れていく想定でしたが、実際には現場判断で波板の端に入れていくことになったため、垂木などに余りが生じてしまいました。余った木材は保管しておくことにし、今後のDIYなどで有効活用していく予定です。

まとめ

今回は当社の"親和寮"にあった”物干し小屋”を、”単管パイプ”を使ったDIYで、”物干し小屋兼サイクルポート”にリノベーションした際の様子をお届けしました。

大型の制作物DIYは初めての試みだったため反省点も多かったですが、うまくいかなかった点も含めて皆さまが”単管パイプ”でDIYを行う際の参考にしていただければ幸いです。我々も、今回の経験を次回以降の”単管パイプ”を使ったDIYに活かしていきたいと思います。

記事内でご紹介した軽量単管パイプ”スーパーライト700”についてさらに詳しく知りたい方は、以下のページから製品カタログがダウンロードできますので、ご活用ください。

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最後までお読みいただき心より感謝申し上げます。今後とも宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。


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