2022.03.23

スーパーライト700の座屈強度は大丈夫?!単管足場として実大実験の結果と考察について。

私たちはパンデミックやロシア/ウクライナ情勢の影響での資材/資源の価格高騰や少子高齢による働き手の減少が当面見込まれている中、仮設業界の皆様へ軽量単管パイプとしてナンバーワンの実績を誇る”スーパーライト700”を単管足場としてご採用/ご活用いただくことを積極的に提案しています。

しかし肉厚が2.4mmから1.8mmに25%も薄くなることによって座屈強度が低下する事を懸念し、検討や採用を躊躇されている方も中にはいらっしゃるのでないかと思います。

そこで今回は私たちが過去に仮設工業会で行なった6層3スパンの実大実験の内容とその結果をご紹介し、”スーパーライト700”の座屈強度に関する私たちの考察をご紹介させていただければと思います。

 
製品資料ダウンロード/足場管SL 
 

座屈強度とは?

座屈とは柱に荷重を加えた場合、一定の荷重を超えた時に柱が急激に折れ曲がる現象です。

座屈の強度は幾何学的な形状により決まり、"オイラー座屈荷重の式" により求めることができます。"オイラー座屈荷重の式"については、以下のサイトで詳しい解説がありますので、参考にしてください。

 リンク:建築学生が学ぶ構造力学_構造力学の基礎_座屈とは?座屈荷重の基礎知識と、座屈の種類

"オイラー座屈荷重の式"を基に”スーパーライト700”と従来の単管パイプの座屈強度を下記のグラフで表してみました。

スーパーライト700と従来単管パイプの座屈強度比較 

[JP][Blog]スーパーライト700と座屈強度のグラフ

上記のグラフより”スーパーライト700”の座屈強度の理論値は、座屈長さが約70cm以降で”スーパーライト700”と従来の単管パイプの座屈強度が逆転していることが分かります。

これは座屈長さが長ければ長いほど材料強度の影響が小さくなり、断面積や断面二次モーメントなどの断面力による影響が大きくなるためです。

仮設工業会で実施した実物大実験の概要について

私ちは”スーパーライト700”を世の中に送り出す為に、1995年に仮設工業会にて以下の写真の6層3スパンの単管足場を組み、載荷する実物大実験を行っています。[JP][Blog]仮設工業会試験2022.03.18実験の目的は、実物大の単管足場に荷重をかけることにより、スーパーライト700の座屈強度の安全性及び安全率を確かめる為です。また比較対象として従来の単管パイプを使用し、同構造で単管足場を組んだ実物大の実験も行っています。

実物大実験の結果と考察

上記の実物大実験の結果は以下の表になりました。

荷重試験 破壊強度 [t]
スーパーライト700を使用した単管足場 14
従来の単管パイプを使用した単管足場 15

この実験から、スーパーライト700の建地1本の最大耐荷重を計算すると支柱4本で以下になります。

 最大耐荷重14[t] ➗ 支柱4[本] = 建地1本の最大耐荷重3,500[kg/本]

続いて実際に単管足場として使用される場合にかかる最大荷重を想定しました。

先ず実際に単管足場を使用される場合の高さを31mに設定し”スーパーライト700”に作用する高さ当たりの自重を計算します。高さ31mの根拠は建設業労働災害防止協会”足場の組立て等作業の安全”によると、高さ31mを超える場合は、建地の最高部から測って31mを超える部分の建地を鋼管2本組とする必要があるためです。

”スーパーライト700”を使用した単管足場の建地1本に作用する高さ1層当たりの自重は、以下の条件より算出しました。

項目

重量[kg/層]

建地(1.65[m]) x 2.08[kg/m]

3.4

腕木(1.5[m] x 2[本] x 1/2[本]) x 2.08 [kg/m] 3.1
布(1.8m) x 2.08[kg/m] 3.7
大筋かい(1.65m x 1.414 x 1/2本 x 1/9層) x 2.08[kg/m] 0.3
クランプ(4ケ) 1.0
足場板(1.8m x 30cm x 2.5cm x 3枚 x 1/2本 x 1/2層) 6.1
ネットフレーム(3.8kg x 1/2本) 1.9
壁つなぎ、ジョイントなど 0.4
合計 およそ20kg/層

上記を基に高さ31mにおける単管足場の建地1本に作用する自重はおよそ400kgとなります。

続いて、想定される建地1本の最大荷重を算出しました。

労働安全衛生規則や建設業労働災害防止協会の規定により、"1スパン当りの最大積載荷重は 400kg以下で同スパン内の同時積載層数は2層以下とし、これを連続スパンにわたって積載しない"事が定められています。

そのため”スーパーライト700”建地の一本あたりの荷重制限を以下の計算式によって計算します。

 1層の荷重制限400[kg/層] x 同時積載層数 2[層] ➗ 建地の本数2[本] =  建地1本の荷重制限400[kg/本]

建地1本に作用する自重と建地1本の荷重制限を合計すると想定される建地1本の最大荷重となります。

  建地1本に作用する自重400[kg/本] + 建地1本の荷重制限400[kg/本] = 想定される建地1本の最大荷重800[kg/本]

ここで実験で得られた建地1本の最大耐荷重を想定される建地1本の最大荷重で除して、安全率を計算します。

 実験で得られた建地1本の最大耐荷重 3,500[kg] ➗  想定される建地1本の最大荷重 800[kg] = 安全率 4.3

ここで安全率についてですが、労働安全衛生規則に記載されている"実際の使用状態に近い条件のもとで支持力試験を行ない、その結果に基づいて安全率を2以上として使用する場合には差しつかえないものとする。"という考え方に従うと、安全率が4.3である”スーパーライト700”は単管足場として使用するのに十分安全だと結論づけられます。

まとめ

今回は私たちが過去に仮設工業会で行なった6層3スパンの実大実験による従来の単管パイプと”スーパーライト700”の比較試験の結果をご紹介し、座屈強度に関する私たちの考察をご紹介させていただきました。

結論として従来の単管パイプと”スーパーライト700”の座屈強度を比較すると、実用的な座屈長さ0.7m〜5.0mの範囲では、従来の単管パイプの方が座屈強度が勝るものの、”スーパーライト700”の性能は単管足場の高さ31m分の自重を考慮しても、”1スパン当りの最大積載荷重400kg以下で且つ同スパン内の同時積載層数2層以下の条件を充分満たしており、単管足場として安心してご採用/ご活用いただける事が明らかになりました。 

足元ではパンデミックやロシア/ウクライナ情勢の影響で資材/資源価格の高騰や少子高齢による働き手の減少が当面見込まれていますが、スーパーライト700”を採用/活用する事で軽量化による輸送効率アップでコスト削減を実現したり、作業性の向上により少人数での施工の実現や、現場の作業負担の軽減による女性や高齢者の人財活用も可能になります。 また、私たち独自の製造方法により実現する全周めっきにより、単管パイプとしての長寿命化や資源の有効活用に貢献すると共に、内面の防錆に地球に優しい水性亜鉛無機コーティング”ミズエコ”を採用するなど、SDGsを念頭においた環境性能の充実にも積極的に取組んでいます。 

その様な私たちの主力製品である”スーパーライト700”の見積もりが欲しいという方がいらっしゃいましたら、以下の見積もりフォームから何時でもご遠慮無くお問い合わせ下さい。以上、宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。 単管パイプのご相談はこちら︎


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