”メッキパイプ”は勿論、工業製品の製造には欠かせない”メッキ”という技術。
実は紀元前から存在し、非常に古い歴史を持つ技術なのです。
今回は、”メッキ”という技術について、いつ頃生まれてどのように発展してきたのか、その歴史を紐解きます。ご一読いただき、ぜひ”メッキ”への理解度を深めていただければ幸いです。
”メッキ”そのものについて知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
リンク:大和鋼管ブログ_“メッキ”とは?!身近で奥深い技術の知っておきたい基礎知識をまとめてご紹介。
3500年以上の歴史を持つ技術”メッキ”
”メッキ”という技術は、紀元前1500年頃にはすでに使われていたといわれています。現在のイラク周辺であるメソポタミア北部にて、溶かした錫を鉄器等に塗った”錫メッキ”が世界最古の”メッキ”ではないかと考えられています。
やがて、”メッキ”はエジプトや中国にも広がっていきます。当時の”メッキ”には、”アマルガム法”が使われていました。”アマルガム”とは、金や銀を水銀と混ぜて作られる合金の総称です。液体状の”アマルガム”を素材に塗り、火で水銀を蒸発させて金属のみを表面に残す方法を”アマルガム法”と呼びます。
日本に”メッキ”の技術が伝わったのは4〜7世紀の古墳時代といわれており、この頃に作られた古墳から"金メッキ"された青銅の装飾品等が出土しています。
”メッキ”は長い間”アマルガム法”や”置換法”で行われてきましたが、19世紀に入ると状況が大きく変わります。”電気”が使えるようになったのです。
”電気メッキ”の登場
”電気メッキ”が可能になったきっかけは、1800年にイタリアの物理学者で電圧の単位ボルト(V)の由来となったボルタ伯爵が”ボルタ電池”を発明したことです。これ以降、電気を利用した”メッキ”は大きな広がりを見せていきます。
”ボルタ電池”の発明から5年後、1805年にはボルタ伯爵の同僚であるブルグナテリが、世界初の”電気メッキ”を成功させました。
1838年、ロシアの技術者ヤコビが電解法による"銅メッキ"を開発しています。
1840年、イギリスで製造業を営むエルキントン社は、"電気メッキ"の商業可能性に目をつけ、さまざまな特許を取得しました。エルキントン社はのちに"銀メッキ"で名をあげ、英国王室御用達の銀食器メーカーとなります。
日本では、幕末に”電気メッキ”の技術が伝わってきました。
日本への伝来と国産”メッキ”の発展
日本に”メッキ”が初めて伝わったのは、3世紀中頃〜7世紀頃の古墳時代であり、仏教と共に伝来したといわれています。当時さかんに作られた巨大古墳からは、”金メッキ”された青銅器等が出土しています。
日本で最も有名な”メッキ”の事例は、東大寺の大仏です。752年に完成した東大寺盧舎那仏像(とうだいじるしゃなぶつぞう)には、"アマルガム法"によって"金メッキ"が施されました。
江戸時代後期に”電気メッキ”が伝わると、1855年に薩摩藩の島津斉彬(しまず なりあきら)が日本初とされる”電気メッキ”を行いました。蘭学者の川本幸民(かわもと こうみん)から技術を紹介された斉彬は、甲冑品に"金メッキ"や"銀メッキ"を施したのです。
時代が進み、明治時代の後半になると、”メッキ”の本格的な工業化が進みました。1887年、技術者の宮川由多加(みやかわ ゆたか)は日本初のメッキ工場を作り、1892年には"ニッケルメッキ"の工業化に成功します。1906年には、官営八幡製鉄所で初めて"溶融亜鉛メッキ"による鋼板も作られました。
以降、日本でも海外でも”メッキ”の技術は進歩し続け、プラスチックやセラミックスといった非金属への技術確立や、"無電解ニッケルメッキ"の発明、電子回路向け技術開発等を経て、現在に続いています。
当社の”メッキ”の歴史
ここで、当社の”メッキ”に関する歴史を簡単にご紹介します。
当社は1932年に創業し、1973年に溶融亜鉛メッキ鋼管連続自動製造方法の世界特許を取得しました。また、同年には特許の技術を集めた製造ラインである”ダイワZプロセス”を設置し、"ポストジンク"の製造/販売を開始しています。
さらに、2004年には内外面溶融亜鉛メッキ鋼管"パーフェクトポストジンク"の製造/販売を開始し、"メッキパイプ"の品質を高めてきました。
時代や社会のニーズに合わせ、"メッキパイプ"の製造方法もアップデートを重ねながら、現在に至ります。
”ポストジンク/パーフェクトポストジンク”のさらなる挑戦
私たちは、"ポストジンク”と”パーフェクトポストジンク"の”少ない亜鉛付着量で高い耐食性を誇る”という特徴を活かし、環境性能の限界に挑戦していきたいと考えています。
環境性能とは、環境負荷を軽減する機能を有していたり、エネルギーをより効率的に利用できるといった優位性を備えていることを指します。
”メッキ”の工程には、様々な”化学薬品”やガス/電気等といったエネルギー、”メッキ”となる非鉄金属といった多くの資源が必要となる為、環境へ与える影響を考慮することが大切です。
これまでに私たちは、最純亜鉛地金やクロムフリーのコーティング剤等の環境負荷の低い素材を採用し、より少ないエネルギーで亜鉛を溶融させる”ガスバーナー”の導入や化学薬品を使用しない”メッキ”方法の導入を行い、”ポストジンク”と”パーフェクトポストジンク”の環境性能を高めて参りました。
これからも様々なアプローチで、少ない資源から”メッキパイプ”の耐食性を最大限に引き出す”省資源化”をさらに極めていきたいと考えています。
まとめ
今回は、”メッキ”という技術の歴史についてお伝えしました。
紀元前から行われてきた”メッキ”は常に進化を続けてきました。未来では、今の私たちが驚くような”メッキ”の技術が生まれているかもしれませんね。
ブログに対するご意見やご感想、ご質問やリクエスト等がございましたら、以下のページからぜひお寄せいただければ幸いです。
最後までお読みいただき、感謝申し上げます。また次回の配信もお楽しみにしていただければ幸いです。引続き宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。
- タグ:
- 話題/トピックス