昨今は朝晩の冷え込みがますます激しくなり、いよいよ冬の様相が深まってきました。この時期からは、最低気温が氷点下になる日々が続く地域も多いかと思います。
そのような寒い時期に心配になる事の一つが「凍結」による農業用ビニールハウスの巻き取り軸の破管ではないでしょうか?
そこで今回は、この凍結による破管の被害に関する対策をご紹介させて頂きます。
農業用ビニールハウス巻き取り軸の凍結被害
凍結により農業用ビニールハウスパイプにダメージを与える事が特に多いのは巻き取り軸の破管です。
巻き取り軸が上記写真のように破管した場合、この状態で気付かずにフィルムを巻き取ってしまうとフィルムが傷ついて破れてしまい被害が大きくなってしまいます。
凍結でパイプが破管する理由
この現象は巻き取り軸の周りのフィルムに水分が溜まっているケースも多い為、パイプを繋いだ差込み部分やビス留めを行なった穴の隙間から水分が入り込んで溜まる事により発生します。
つまりパイプ内に水が溜まった状態で氷点下が続いた場合、その水が氷になる事で約10%体積が膨張し、その力に耐えられなくなったパイプが破管する訳です。
その現象を検証すべく当社で行なったパイプ内部の凍結による膨張を測定する実験結果をご紹介させて頂きます。
−45℃の冷凍庫に外径22.2mm肉厚1.2mm長さ300mmのパイプを横向きで入れ3時間経った時の変化を計測しました。
あらかじめパイプの片管端を止め内部に水を入れた後に両管端止め、内部に水が満杯の状態にしています。
この様に凍結による膨張が鋼鉄のパイプを内側から破管させるという現象はイメージしにくいですが事例は少なくありません。
身近な例としては、お茶のペットボトルを凍らせると想像以上にパンパンに膨らんだり、冬場に水道管が凍結して破裂するといったニュースを耳にする事がありますよね。
これと同じ現象が巻き取り軸の内部で発生し破管という事態になります。つまり水が氷になる事で発生する力は私たちの想像以上な訳です。
凍結による破管を防ぐ為には
凍結による破管を防ぐには、中に水分を入りにくくする事が有効です。具体的には、巻き取り軸の連結部分を抜け防止に行う"ビス止め"を"カシメ"に変更する事が一手です。
ビス止めを行う事で、パイプに穴が空きその隙間から水分が入り込んでしまい易くなります。カシメにする事で、パイプに穴を空けずに巻き取り軸の抜けを防止する事ができる訳です。
一方でカシメは一度行うと外す事はできなくなる為、巻き取り軸を部分的に交換する場合は切断を行ったり、一列全部を取り替える必要がでてきますので、設置時にはくれぐれもご注意下さい。
まとめ
ご紹介した通り、ちょっとした工夫を行う事で農業用ビニールハウスの凍結による破管の被害を減らす事ができます。
佐藤産業さんが「パイプロック」というカシメの道具を販売していますので、宜しければ以下のリンクを参考にしてください。
参考サイト: 佐藤産業株式会社_パイプロックリンク
また、その他にも農業用ビニールハウスパイプについてお悩みやご相談があれば以下のお問い合わせフォームよりご連絡下さい。
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