2022.05.18

思ったより難題!?単管パイプの騒音対策について。

建設工事は資材の持ち込みの為の大型車両の往来や重量物の高所での扱いに加え、騒音や震動及び臭気や埃等の発生を伴う事がある為、工事現場の周辺の住民の方々の理解と協力を得ながら安全/安心に工事を進めていく事が理想です。

しかし環境省の調査によると、2019年度の騒音に係る苦情の件数は15,726 件(前年度 16,165 件)で、前年度 に比べ 439 件減少したものの、苦情の内訳をみると建設作業が最も多く6,062 件(全体の 38.5%)に及び、工場/事業場が4,422 件(同 28.1%)、営業が1,411 件(同 9.0%)等となっており、特に建設作業における"騒音対策"が課題となっています。

そこで今回は私たちの視点で、”騒音規制法”建設工事に関わる内容を詳しく確認した上で、仮設工事に於ける騒音の原因と単管パイプに関連する騒音対策についてご紹介させていただければと思います。

 
製品資料ダウンロード/足場管SL 
 

建築工事に於ける”騒音規制法”

冒頭でもご紹介した通り、建設作業や工場•事業場が騒音の苦情の大半を占めています。そこで建設作業や工場•事業場から発生する騒音を規制し、人々の生活環境を保全する健康保護を目的に1968年に”騒音規制法”が制定されました。

騒音規制法では、都道府県知事や市長/特別区長は、騒音について規制する地域を指定しており、規制対象ごとに異なった規制基準等が定められています。  

建築作業においては、指定地域内で行われる特定建設作業に伴って発生する騒音を規制しており、著しい騒音を発生する建設作業が特定建設作業として定められています。騒音の大きさや作業時間等は、以下の通り定められています。

規制の種類/区域 第1号区域 第2号区域
騒音の大きさ 敷地境界において85デシベルを超えないこと
作業時間帯 午後7時~午前7時に行われないこと 午後10時~午前6時に行われないこと
作業期間 1日あたり10時間以内 1日あたり14時間以内
連続6日以内
作業日 日曜日、その他の休日でないこと

中身を詳しくみてみると、本来建設工事に伴う騒音は工事期間が終われば解消される一過性との認識に基づいている為か、”騒音の大きさ”に関する規制値は”間近で聞く救急車のサイレンの音”に相当する”85デシベルを超えないこと”とされており、比較的高く設定されています。しかし現状として騒音による地方団体への苦情の殆どは、騒音規制値以下が圧倒的に多くなっています。(参考:wikipedia_デシベル)

また作業時間帯及び1日あたり作業期間は”良好な住居の環境を保全するため、特に静穏の保持を必要とする区域他”とされる第1号区域と、”指定地域のうちの第1号区域以外の区域”第2号区域に分かれていますが、連続6日以内となっており、作業日も”日曜日、その他の休日でないこと”である事を踏まえると、週休完全2日を想定した内容に規制としてはアップデートされていない状況であると推察されます。

更に建設工事に伴って発生する騒音の問題は、都市部だけでなく地方部に於いても工事の円滑な実施にとって障害となっている状況が、年々増加傾向にあるとされています。この様な状況の背景には少子高齢化社会が進む中で、コンパクトシティ等の取組が進み、地方でも住宅が密集する傾向が進んでいるのではと推察されます。

騒音規制法に関する詳しい内容は以下の環境省のリンクより詳しい内容をまとめたパンフレットがダウンロードできますので、ご興味のある方は是非一度内容をご確認いただければ幸いです。

 リンク環境省 騒音規制法パンフレット

仮設工事の騒音の原因について

私たちの製造販売している単管パイプはやはり建築現場での仮設工事に於いて多く使用されており、騒音が発生し易いのは主に以下の2つのシーンだと想定されます。

  • 掛けばらしする際に発生する仮設資材をハンマーで叩く時の音
  • 運搬や積み込みの際に発生する仮設資材同士がぶつかった時の音

ご存知の様に仮設資材は金属製の製品が多く、掛けばらし作業を行う際には作業者がハンマーを使って仮設資材を叩いて組み立てや分解の作業を行うので、この時に単管パイプの場合は"カーン"という高い音がどうしても出てしまいます。また単管パイプを杭として使用する場合にもハンマーや打ち込み機で数回打ち込む必要がある為、騒音に注意が必要です。

また運搬や積み込みを行う場合は人が作業を行うことも多いので、不本意に仮設資材同士が当たってしまう事もしばしば起こり、この際にはハンマーを使った時と同様に耳障りのわるい高い音が発生します。特にクレーン等を使って資材を纏めて移動させる際には、引き上げ時や積み下ろし時に同様の騒音が断続的に発生する事が起こります。

単管パイプ用防音具のご紹介

仮設資材の防音対策としてはパネルや防音シート等の色々な防音具を使用する場合がありますが、単管パイプの場合は例えば下記のように防音具を取り付けて使用することにより、打ち込み時の騒音の高音域を8デシベル低減する事が可能です。

8デシベルは感覚的に少ないと思われるかもしれないですが、打ち込み時の音を想定するとおよそ1/2.5に軽減する効果が期待でき、先述の”金属製の仮設資材を掛けばらしする際に発生するハンマーで叩く時の音”の対策には効果が見込めます。

防音器具

画像:丸善工業株式会社_単管パイプ用防音具

FRP製の単管パイプ

また私たちが最近耳にした新たなアプローチとしては、英語で”Fiber Reinforced Plastics”と"繊維強化プラスチック"を意味するFRP(エフアールピー)製の単管パイプを使用することで、仮設資材を打ち込む金属音を和らげる方法があります。

このアプローチは単管パイプ自体を金属製ではなくす事になり、前述の何れの課題に関しても抜本的な効果が期待できるだけでなく、他にも電気を通さないなどのメリットがあるのですが、金属と比較するとヤング率が大幅に低くなっている為に撓みが極端に大きくなり、長い寸法で使用する事は安全面や作業性の観点で無理が生じる可能性がある為、適切な箇所に限定する事が望ましいと考えられます。

まとめ

今回は私たちの視点で”騒音規制法”建設工事に関わる内容を詳しく確認した上で、仮設工事に於ける騒音の原因と単管パイプに関連する騒音対策について考察してみました。

結論としては”掛けばらしする際に発生する仮設資材をハンマーで叩く時の音”及び”運搬や積み込みの際に発生する仮設資材同士がぶつかった時の音”の両方を解消するには、現状確認できたアプローチは何れも発展途上で改善の余地があり、今後の製品開発の可能性を大いに実感できました。

少子高齢化によりコンパクトシティのアプローチが増加していく中で、特に学校や病院などの周辺で大型で長期間に渡って行う工事に関しては、より抜本的な騒音対策を施して騒音の発生をできる限り防止することに より、更に充実した生活環境の保全と円滑な工事の施工を図ることが社会的ニーズとして高まってくると考えていますので、私たちも様々な対策を皆さんと一緒に考えて行ければ幸いです。

今後も単管パイプにまつわる様々なニーズを踏まえて、具体的な対策やアプローチを積極的にご紹介させていただければと思っています。"単管パイプ◯◯したい"や"単管パイプの◯◯について困っている"等のお悩みや質問がありましたら、以下のフォームよりお気軽にお問合せ頂ければ幸いです。引き続き宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。

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