2022.12.07

STXの新たな出番?!畜舎建築特例法で広がるハイテンパイプ活用の可能性。

今年2022年(令和4)年04月01日から”畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律”が施行され、畜舎や堆肥舎等の建築について規制が変わり、建築基準法に比べて構造等に関する基準が緩和されています。
規制緩和の目的は、畜産に従事される方々の畜舎/堆肥舎等への投資負担を軽減し、畜産業の持続性を改善することであると私たちは理解しています。

畜産業を営む方々が低コストで畜舎等が建てられるようになるのはもちろんのこと、新たな資材の活用や構造体の進化によって、より安全/安心で使いやすい畜舎が生まれるチャンスだといえます。

[JP][Blog]牛舎キービジュアル

今回のブログでは、この畜舎建築特例法について解説するとともに、規制緩和の背景を踏まえて"ハイテンパイプ"の活用がさらに広がる可能性についてお伝えいたします。ぜひご一読いただき、お役立ていただければ幸いです。

畜舎建築特例法とは?

畜舎建築特例法(畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律)とは、適切な手続きを行うことによって、畜舎等の新築や改築などについて建築基準法の適用除外を認める法律です。

基準の適用を希望する方は、通称”畜舎建築利用計画”と呼ばれる"畜舎等の建築等及び利用に関する計画"を作成し、都道府県知事の認定を受ける必要があります。

畜舎建築基準の緩和の背景

この特例が設けられることになった背景には、国内の畜産業が"国際競争に勝ち抜くための対策が必要"であることと、"現行制度で求められる建築基準法の適用は、畜産業者への負担が大き過ぎる"という2点が挙げられます。

・畜産業の国際的な競争環境が厳しくなる中においては、省力化機械の導入や増頭・増産等の取組の推進が必要。
・畜舎を新築して省力化機械の導入等を行おうとする際、畜舎には建築基準法が適用されるが、建築に係る負担は畜産業の経営実態からみて過大となっている。

 引用:畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律の概要(農林水産省)

畜産業を取り巻く環境は大きく変化しています。海外が競合になることはもちろん、国内でも高齢化や後継者不足の問題、用地確保/拡大の難しさ、環境対策の負担等によって、乳用牛飼養戸数は減少傾向となっています。

建築資材や工賃単価の値上げによって建築にかかる費用負担も大きくなっており、現場からは畜舎の建築基準の緩和を求める声が上がっていました。

これらの状況を鑑み、事業者の負担を減らし国際競争力を強化するために、畜舎特例法が制定されることになった訳です。

畜舎建築基準の緩和内容について

下記に畜舎建築基準の緩和される内容を記載いたしますので、ご参考にしていただければ幸いです。

  • 畜舎の高さ:高さ16m以下 (軒高は設定しない)。
  • 技術基準に係る計画申請・審査が不要となる面積:木造、その他の区別なく3,000㎡以下。
    ※ 3,000㎡を超える木造建築物は耐火構造にしなければならない等の防火上の措置を講ずる必要があり、これを超える面積 の畜舎等は審査が必要
  • 基礎に係る基準緩和:畜舎等の基礎に係る深さの規定は設けない。
  • B構造畜舎:部材の強度を緩和。なお、屋根ふき材にはプラスチック板等の軽いものを指定。
  • 利用基準:床面積に応じて、建物内に滞在する人数・時間を制限、避難経路の確保。

詳しくは農林水産省が公表している”畜舎特例法の基準等に係る省令の概要”に記載がございますので、下記リンクよりご確認ください。

 参照リンク:畜舎特例法の基準等に係る省令の概要

従来、畜舎は建築基準法に照らし合わせて、構造や防火といった安全性確保に関する基準、用途規制や容積率といったまちづくりに関する基準に適合する必要があり、さらに畜舎の規模や立地に応じて、建築確認申請等の手続きも行わなければなりませんでした。

しかし今回の規制緩和によって、農家さまは畜舎等の新築や増改築を行う際に、どの基準を適用するかを考えられるようになりました。つまり、畜舎建築特例法に基づく農水省が定める新基準か、従来の建築基準法の基準かを自分で選択できるようになったのです。

ハイテンパイプ"STX"でお役立ち

畜舎建築基準法の緩和は、コスト低減や手続きの省略だけにとどまりません。

金具接合や従来の建築材料にとらわれず、オリジナリティのある低コストの畜舎を建築することが可能となりました。JIS規格や国土交通大臣指定材料にこだわらず、新しい技術を採用することも可能になります。

こちらの項では、ハイテン材を使用した畜舎を設計/開発する参考にしていただければと思い、当社のハイテンパイプ"STX"がどのように皆さまのお役に立てるかをご紹介いたします。

パイプ画像-STX

ハイテンパイプ"STX"とは、同じサイズの従来品に比べて約2倍の強度があるハイテンのメッキパイプです。農業分野を中心に、様々な分野で構造物の強度向上およびコスト削減で活躍しております。

ハイテンパイプ"STX"は、機械的性質である"引張り強さ/降伏点"または"耐力/伸び"および"設計基準強度"について、一般鋼管と違いがあります。下記に従来材とハイテンパイプ"STX"の比較表を掲載していますので、ご覧いただければ幸いです。

スクリーンショット 2021-07-19 13.30.27

 ・400Nの基準強度(短期許容応力):235N/㎟ (建設省告示 2464号 鋼材等の許容応力度の基準強度より)
 ・700Nの基準強度(短期許容応力):490N/㎟ (国土交通大臣認定 No.MSTL-0197)
 ・780Nの基準強度(短期許容応力):546N/㎟ (引張り強度 780N/㎟ x 70%=546N/㎟)

高い強度を持つことから、パイプの外径サイズを下げたり、一棟あたりの鋼材使用量を減らしたりすることができるため、トータルコストの削減が見込めます。また、金具等と組み合わせることで、使用環境や用途に合わせた自由な設計が可能です。

ハイテンパイプ"STX"は、農業用ビニールハウスの分野に於いて多くの採用実積があり、ハウスの強靭化やコストダウンに貢献しています。

実際に、当社のハイテンパイプ"STX"を使用した農業用ビニールハウスをお使いの農家さまからは、「台風や豪雪等の自然災害にも耐えることができた」とのご報告をいただいております。

下記のブログで"STX"の活用事例をご紹介しておりますので、ぜひご参考にしていただければ幸いです。

 ブログ記事:SDGsの達成は農業で勝負?!STXで実現するレジリエントな農業。

ハイテンパイプ"STX"に関するさらに詳しい情報につきましては、下記フォームから資料をダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

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まとめ

今回は、畜舎建築特例法の概要およびハイテンパイプ"STX"のお役立ちの可能性についてお伝えいたしました。

畜舎の建築基準が緩和されたことで、より低コストでの建築が可能となりました。とはいえ、基準が緩んだから畜舎の安全性を厳しく考えなくていいという訳ではありません。積雪や台風、地震等の自然災害に対しても安全/安心が確保できる構造にする必要があります。

各緩和基準をご理解いただき、建築関係者とご相談いただいた上で、畜舎建築基準の緩和を活かした構造物の設計/開発を行っていただきますようお願いいたします。

当社は、ハイテンパイプ"STX"によって日本の農業の成長と発展に貢献し、自然災害等にも強いレジリエントな農業を実現できるよう日々取組んでおります。

ハイテンパイプSTX資料

私たちには、これまでに軽仮設や農業分野で培ってきたノウハウがございます。畜舎に関する建築基準の緩和をきっかけとして、新たな製品開発のチャンスやマーケットを生み出すお手伝いができれば幸いです。

ハイテン材を使用した畜舎の強靭化や当社製品について、何かご質問やご相談がございましたら、下記お問合せフォームよりお気軽にご連絡ください。喜んでお伺いいたします。

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最後までお読みいただき心より感謝申し上げます。引き続き宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。


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