2024.07.24

“運転”が鋼管製造のリーダー?!造管ラインを起動し、帯鋼をパイプにする工程について。

「メッキパイプの製造には、どんな機械や設備を使っているのだろうか?」
「メッキパイプはどのような流れで造られているのだろうか?」
このような疑問をお持ちの方に、メッキパイプの製造工程を深掘りしながら、ご紹介させていただくブログをシリーズでお届けしています。

第3回の今回は、製造ラインの稼働を担っている"運転"について解説します。ぜひご一読いただければ幸いです。

なお、これまでの記事では"スリッター"や"継(つなぎ)"について解説しています。こちらも併せてぜひご覧ください。

【第1回】"スリッター"ってどんな機械?!メッキパイプ製造の前工程の設備を詳しく解説。
【第2回】"継 (つなぎ)"って何?!バラバラのコイルを1つに繋げ、連続製造を可能にする工程を紹介。

"運転"とは何か

大和鋼管の造管プロセスにおける"運転"とは、メッキパイプの素材である"帯鋼"を円筒形、すなわちパイプ状に成形する工程を指します。

素材をパイプ状にする工程が"運転"と呼ばれている理由は、この工程でモーターの調整など製造ライン全体のコントロールを担っているからです。いわば、製造ラインの"リーダー"といえる存在でしょう。

製造ラインを停止させることは"継"や"カット"といった他の工程でも可能ですが、起動ができるのは、"運転"の担当者だけです。”運転”の担当者は、各工程との連携を図り、時には操業をサポートしながら、スムーズかつ安全なライン稼働をリードしています。

[JP]運転20240709

私たちの工場では、"運転"は"フォーミング"及び"溶接"の作業工程から成り立っています。それぞれについて詳しく解説させていただきます。なお、"メッキ"の作業については、内外面をまとめて次回の記事で取り上げます。

"フォーミング"(成形)

この工程では、平らな状態の"帯鋼"をパイプ状に変形させます。"ロール"という回転部位が"帯鋼"を円筒の形に丸めていきます。

[JP][Blog]修正フォーミング
"ロール"は1つではなく、複数の種類を使い分けます。例えば、円筒形に成形する"ブレイクダウンロール"や溶接する面を整える"フィンパスロール"等があり、これらを総称して"フォーミングロール"と呼ぶこともあります。

この"ロール"は硬い材質でできていますが、使用している間にどうしても摩耗してしまう為、定期的な点検と交換が必要です。

"ロール"の状態が悪くなると、"帯鋼"の表面に傷が付き、"溶接"に不具合が起きたり、不良品が発生したりする可能性があります。

このような問題を回避するために、熟練の作業員が"ロール"の状態を監視し、適切な状態を保っています。

"溶接"

この工程では、成形された"帯鋼"の両端を接合して、パイプの形にします。

[JP][Blog]溶接部の解説
"継"の工程で行う"ウェルダー"と違う点は、"継"では別々の"帯鋼"を1つにつなげ合わせる為に"溶接"を行うのに対し、"運転"の工程では"帯鋼"をパイプ状にするために両端をつなぐというところです。

具体的には、まず"フォーミング"の段階で丸く成形した"帯鋼"を"高周波誘導加熱コイル"に通します。"高周波誘導加熱コイル"とは金属を急速加熱できる装置であり、内部に高周波の電流を流すことによってジュール熱を発生させて、"帯鋼"のつなぎ目の部分を溶かします。

このとき、両側から"帯鋼"に圧力を加えて押し付け合うことでつなぎ目をしっかりと接合し、パイプ状にするのです。

担当者の重視ポイント

実際に"運転"の工程を担当されている高橋敦生さんに、作業で重視しているポイントを伺いました。

[JP]pose_yubisashi_kakunin_sagyouin_man「一番気をつけているのは、溶接の"突き合わせ"です。ここでいう"突き合わせ"とは、丸めた"帯鋼"の両端の高さを揃えることです。ここが"運転"の肝になります」

「"継 (つなぎ)"で行う溶接とは作業内容が違いますが、溶接をする際に母材の高さを合わせることは同じです。もし"突き合わせ"の高さが合っていないと段差ができてしまい、溶接そのものの強度が落ちてしまいます」

「また、大径のメッキパイプを製造するときは、外径が大きい分、丸める前の"帯鋼"の幅も広くなっていますので、いかに綺麗に丸く成形するかを重視しています」

 

作業者のこだわりが込められた"パーフェクトポストジンク(PPZ)"

大和鋼管の高品質なメッキパイプは、熟練の作業員の技術とこだわりによって生み出されています。

パイプ画像-PPZ

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まとめ

今回は、"運転"の工程について詳しくお伝えさせていただきました。この工程は、"帯鋼"が円筒形に変形し、メッキパイプへと近づいていくだけでなく、製造ライン全体の稼働を司る重要な役割を担っています。

記事内でご紹介した当社製品のお見積もりは、無料で承っております。ご希望の方は、以下のフォームからお気軽にお問い合わせください。担当者から折り返しご連絡させていただきます。ご質問やご相談も喜んで承ります。
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最後までお読みいただき、感謝申し上げます。
次回は、錆を防ぐ為に欠かせない"メッキ"の工程についてご紹介します。お楽しみにしていただければ幸いです。ありがとうございました。


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