2024.03.01

"物流業界の2024年問題"で"荷主"が行うべき対策とは?!知っておきたい知識と具体的な対策を解説。

"物流の2024年問題"はトラックドライバーだけではなく、モノの出荷や入荷を行う"荷主"にも深く関わる問題です。しかし、「"荷主"として何をすればいいのかわからない・・・」という方も、多くいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は、"荷主"が"物流業界の2024年問題"について知っておくべきこと、取り組むべき具体的な対策について解説します。"荷主"として問題にどう向き合えばいいのかを知るうえで参考にしていただければ幸いです。

"物流業界の2024年問題"と"荷主"の定義

"物流業界の2024年問題"とは、2024年04月から自動車運転業務の時間外労働時間に制限がかかることで発生が懸念される問題の総称です。問題の例としては、"配送にこれまで以上に時間がかかる"、"運賃や手数料が値上げされる"等が考えられます。

"物流業界の2024年問題"の詳細については、以下の記事をご参照ください。

 ブログ:"物流の2024年問題"ってナニ?!その概要や背景をわかりやすく解説。

https://www.photo-ac.com/main/detail/22144188&title=物流イメージ%E3%80%80水色のトラック

"物流業界の2024年問題"はトラック運送事業者の話と思われがちですが、"荷主"にとっても無視できない問題です。
"荷主"とは、"自らの事業に関して貨物を継続して貨物輸送事業者に輸送させる者"と法律で定義されています。

 参考荷主とは | 輸送の省エネ法規制 - 資源エネルギー庁

また"荷主"の中でも、荷物を送り出す側では"発荷主(はつにぬし)"、受け取る側では"着荷主(ちゃくにぬし)"と区別されています。

例えば、私たちがトラック運送事業者の方に依頼して"単管パイプ"をお客様の元へ配送するときは"発荷主"になり、パイプ製造の為に仕入れた素材を受け取るときは"着荷主"になる訳です。

"荷主"が取り組むべき対策とは

物流を効率化する為には、運送事業者だけではなく、"荷主"自身も取組を行う必要があります。2023年06月には、経済産業省/農林水産省/国土交通省の連名でガイドラインが策定されました。

 参考:物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン

このガイドラインでは、"業務の効率化/合理化"、"労働環境の改善"、"運賃の適正収受"という3つの観点から、"発荷主"と"着荷主"のそれぞれに取組の実施を求めています。取組例としては、荷待ち/荷役作業等にかかる時間の把握や2時間以内ルール、運送契約の見直し等があり、いずれもドライバーの負担を減らし、現状の改善を目指すものとなっています。

"荷主"に科されるペナルティとは

作業服女性04

"物流業界の2024年問題"で言及されているドライバーの労働時間制限そのものに関しては、現時点において"荷主"は罰則の対象外です。

しかし、ドライバーの法律違反に"荷主"が関わっていた場合、"荷主勧告"というペナルティが発動されます。違反行為に対しては調査が行われ、"荷主"の無茶な要求がルール違反に繋がったと判明した場合、荷主名及び事案の公表が行われるのです。

また、2023年07月には、悪質な荷主企業や元請事業者の監視を強化する為、国土交通省で"トラックGメン"が創設されました。

さらに、"荷主"が関係する法律の改正手続きも進んでいます。"流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律"の改正案では、大手の"荷主"や物流事業者に対して中長期計画作成や定期報告が義務付けられ、違反すれば最大100万円の罰金を科すといった内容が盛り込まれています。

 参考:流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」を閣議決定 - 国土交通省

このように、"物流業界の2024年問題"の解決には事業者同士の協力が必須という考えのもと、"荷主"も物流に関わる者としての責任が強く求められるようになっているといえます。

大和鋼管が"荷主"として行う取組とは

自社便トラック_積み込み

効率的な配送を行う為に、私たちは"荷主"の立場から以下の取組を行っています。

発荷主として行っていること

  • 待機時間の測定と分析を行う
  • 出荷前日までに"バラ束"を含む積荷の準備を完了する
  • 出荷前日までに荷姿(積み方)の確認をする
  • 出入荷情報を社内ネットワークで一元管理する
  • 積込みがストップしないように出荷担当者間で調整する

積み込みを行う際には待機時間を測定し、何にどれだけ時間がかかっているのかを分析しています。作業のムリ/ムダ/ムラを探し、改善を行う為です。もちろん混み具合等の諸条件により大きくバラつくのですが、現在の待機時間は平均すると約34分に縮まって来ています。

出荷前日までには、"バラ束"を含む積荷の準備を完了しておきます。加えて、荷姿の確認も行います。"社内転送便"の場合は、荷姿に不都合があった際は明細変更を拠点に依頼します。

製品の出入荷情報は社内ネットワークで一元管理することで、拠点からも出荷準備が完了しているかどうかが分かるようになっています。

出荷担当者間では交代で昼食を取る等して対応の調整を行い、トラックへの積み込みが滞らないようにしています。

着荷主として行っていること

着荷主としての取組は、当社のみで行っているものの他、発荷主及び運送会社の皆さまと共に実施しているものの両方がありますので、それぞれご紹介します。

当社で実施していること

  • 荷降ろし作業者を事前に決める
  • 荷降ろし場所を事前に確認/確保する
  • 一部の荷にはパレットを活用し、フォークリフトで荷役できるようにする
  • 当社発注者と当社受け取り人が異なる場合、システムを活用して納期や製品、荷降ろし場所等を事前共有する過程を自動化している
  • 荷受け可能な担当者を増やす為、フォークリフト/天井クレーン資格取得者を増員中

当社と発荷主、運送会社と共に実施していること

  • 可能な限り他の荷と着日が重ならないように日程調整を行う
  • 運送会社と連携して、荷の到着時間を把握する
  • 可能であれば荷を降ろしやすいように荷姿をドライバーに指定する
  • ドライバーの同意が得られた場合は、電話番号を共有してもらう

このように、相手と情報共有しながら事前準備をシッカリと行う、自動化する、業務可能な人材を増やす等を行い、作業時間の短縮や負担軽減に取り組んでおります。

まとめ

今回は、"荷主"が“物流の2024年問題”について知っておくべきこと、対策すべきことをお伝えしました。物流の停滞が不安視される中、効率的でスムーズな輸送の為に"荷主"は何ができるのかを考える一助になれば幸いです。

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最後までお読みいただき感謝申し上げます。引続き宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。


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