2024.02.28

"物流の2024年問題"ってナニ?!その概要や背景をわかりやすく解説。

政府の”働き方改革”の一貫として、トラックドライバーの時間外労働の規制が大幅に強化される2024年04月01日まで、残りわずかの期間となりました。

トラックドライバーの労働時間が短くなることで様々な問題が発生するとされる、いわゆる"物流の2024年問題"が懸念されていますが、「具体的にどう問題なのかよく知らない」、「解決策として何をすればいいのか分からない」という方も少なくありません。

 

そこで今回は、"物流の2024年問題"とは何か、その概要や背景を解説しますので、ぜひご参考にしていただければ幸いです。

"物流の2024年問題"の概要

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"物流業界の2024年問題"とは、”働き方改革関連法”に基づき、”自動車運転業務”の労働時間が制限されることによって発生する様々な問題の総称を指します。

ここで言う"自動車運転業務"とは、具体的にはタクシーやバス、トラック等の運転業務をいいます。中でも注目されているのが、トラックドライバーの”時間外労働時間規制”です。

"働き方改革"の大きなポイントの1つに、時間外労働の上限規制があります。この上限規制は、大企業では2019年04月から、中小企業では2020年04月から導入されていますが、”自動車運転業務”を含むいくつかの業務では、導入が2024年04月まで猶予されることになりました。

猶予期間が設けられた業種は、いずれも長時間労働が常態化している職業であり、対策を取るのに時間がかかることを考慮した結果と思われます。実際、トラックドライバーの年間労働時間は、全産業と比較して約2割長いといわれています。

現行からの変更点

規制の見直しによって、タクシーやバス、トラック等のドライバーの労働時間が短縮されることになります。主な見直しのポイントは、以下の通りです。

労働基準法関係

労働基準法第36条に基づく労使協定、いわゆる”サブロク協定”を締結している場合では、時間外労働時間は年960時間が上限に規制されることになります。そして規制に違反すると、労働基準法第119条1項に基づき、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科される可能性があります。

"働き方改革"以前は時間外労働が制限なくできてしまっていましたが、罰則付きの上限規制を設けることで、強制力を持って⻑時間労働を是正しようとしている訳です。

 参照リンク:時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務(厚生労働省)

改善基準告示関係

"改善基準告示"とは、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準を指します。この基準の改正適用によって、ドライバーの拘束時間が現行より短縮されます。

具体的には、1年あたり原則3,300時間に変更、1か月あたり原則284時間以内に変更されます。また、ドライバーの休息期間(使用者の拘束を受けない期間)は継続11時間を基本とし、9時間下限となります。

 参照リンク:トラック運転者の改善基準告示(厚生労働省)

輸送能力の低下が懸念されている

労働時間の短縮は良いことに思えますが、その反面として輸送能力の低下、すなわち”今までのようにモノが運べない/届かない”という懸念が出てきました。

実際、"物流業界の2024年問題"について具体的な対応を行わなかった場合、2024年度には輸送能力が全体の約14%にあたる約4億トン相当の不足し、その後も対応を行わなかった場合は2030年度には輸送能力が約34%に相当する9億トンも不足する可能性があるという試算が出ています。

 参照リンク:物流の2024年問題について(国土交通省)

モノが運べなくなれば、企業の売上/利益減少のみならず、トラックドライバーの収入減にもつながります。そして、この"物流業界の2024年問題"は物流業者だけの話にとどまりません。

"荷主"となる事業者の側でも、モノを輸送できなくなったり、手数料の負担が上がったりする可能性が考えられます。さらに、一般消費者も配送料や商品価格の上昇、当日/翌日配送サービスが使えないといった問題に直面するかもしれません。

このように、"物流業界の2024年問題"はトラックドライバーだけの話ではなく、"荷主"や一般消費者も含めた社会全体に関わる問題です。それぞれの立場から対策を考え、段取りの工夫や運行計画の見直し、DXの導入等でお互いに協力し合い、ムダな時間を減らす仕組みを作っていくことが必要です。

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なお、"物流業界の2024年問題"の解決策の1つとして、当社では軽量単管パイプ"スーパーライト700"やストック品の活用をご提案をさせていただいております。ご興味がある方は、ぜひ以下の記事をご参照ください。

 ブログ:2024年問題も”スーパーライト700”で解決?!大和鋼管流の今後の物流対策について。
 ブログ:単管パイプで実現する2024年問題の対策や如何に?!当社との在庫/物流連携の可能性について。

まとめ

今回は、"物流の2024年問題"の概要と背景をお伝えしました。背景には労働環境改善を目的とした"働き方改革"がありますが、現場の実情や変化する顧客ニーズが絡み合い、輸送能力の低下をはじめとした数々の問題が浮かび上がることになった訳です。

私たちも"荷主"の立場として"物流の2024年問題"に対応できるよう、物流・運送業者の方々と協力し合い、作業のムリ/ムダ/ムラを減らし、仕事の生産性を向上させる取り組みを行って参ります。

また、今後も皆さまに"為になるお役立ち"としてご紹介できる情報がありましたら、随時ご案内して参ります。もしブログに対するご意見やご感想、ご質問やリクエスト等がございましたら、以下のページからぜひお寄せいただければ幸いです。

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