2021.04.21

単管パイプハウスで実現する低コストと高強度!!北海道での具体例について。

近年、大雪や暴風等による農業用ビニールハウスの被害が多く出ている中、農家さまの資材費や人件費等が急激に上昇し経営に大きく影響を及ぼしており、暴風雪に耐えうる高強度で耐候性のある低コストな農業用ビニールハウスの開発が期待されています。

その様な中、地域振興を目的に生産者さまへのお役立ちとして”高強度で耐候性のある低コストなパイプハウスの普及”に取組んでいる北海道のお客さまである地方独立行政法人・北海道立総合研究機構・農業研究本部・北海道原子力環境センターさまから”単管パイプハウス”について様々なことを教えて頂きました。

先方では一般的な単棟パイプハウスに単管パイプを活用し、”低コスト高強度園芸パイプハウス”の開発/検証や、生産者さまが自らが施工できるように施工マニュアルの作成を積極的に行なっておられます。

 参考文献:地方独立行政法人 北海道立総合研究機構_成績概要書

そこで今回は、お話を聞かせて頂いた内容も踏まえ、単管パイプを使用した農業用ビニールハウスについて、その特徴や一般的な農業用ビニールハウスとの違いについてご紹介します。

 
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単管パイプハウスとは?

単管パイプハウスは、単管パイプ(外径Φ48.6㎜×肉厚1.8㎜または肉厚2.4㎜)を使用した農業用ビニールハウスです。

一般的な農業用ビニールハウスは、地域によって多少異なりますが、農業用パイプの外径が19.1mm、22.2mm、25.4mmの3種類が多く用いられており、北海道のような雪が多い地域では31.8mm等の太いパイプが使われたりしています。

基本的なアーチ構造は単管パイプハウスも一般的な農業用ビニールハウスも同様になります。

単管パイプハウス

 写真:地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 農業研究本部 北海道原子力環境センター
 仕様:単管パイプハウス(単管パイプ:外径Φ48.6㎜×肉厚1.8㎜/間口:5.7m/肩高:2m)

単管パイプハウスの特徴は?

単管パイプハウスの特徴としては、コストあたりの耐雪強度アップと採光率アップの2つがあります。

  • アーチパイプの数が減ってコストあたりの耐雪強度アップ
    使用する農業用パイプが単管パイプになることで、パイプ自体の強度が増す為、アーチ管の数を減らすことが可能になります。φ31.8㎜の農業用ビニールハウスで比較をすると、一般的なアーチ間隔は0.5m~0.8mですが、3倍の1.5mまで広げられ、且つほぼ同等の強度で資材費を15%ほど削減することができます。また、アーチ間隔が2倍でも一般的な農業用ビニールハウスとほぼ同じ資材費で約1.5倍強度が上がり、⾼強度な単管パイプハウスを実現することができます。
  単管パイプ 外径Φ48.6㎜×肉厚1.8㎜ 農業用パイプ 外径Φ31.8㎜×肉厚1.6㎜
アーチ間隔 1.5m 1.0m 0.5m
耐雪強度(kg/㎡) 33 51 34
資材費(/㎡) 85% 98% 100%
  • アーチピッチ拡大で採光率アップ
    パイプ自体の強度が増す事でアーチピッチを1mや1.5mにまで広げる事ができ、採光が良くなり光合成が活発になることで、収量自体が増える事が期待されます。一例として真上から光が照射した時の影面積割合について①アーチピッチが1.5mの単管パイプハウス、②アーチピッチが0.5mのφ31.8mm農業用ビニールハウスを比べると、以下の計算式のように影面積の割合が少なくなります。

    【①アーチピッチが1.5mの単管パイプハウスの影面積割合の計算】
    ・母屋:単管パイプ(φ48.6x1.8)/3本
    ・間口:7.2[m]/耕起幅:6.7[m]
    ・奥行き:24[m]
    ・タイバー:単管パイプ(φ48.6x1.8)使用/横管長さ2.5m/1アーチ毎の配置/3箇所母屋と直交
    影面積割合
    = (アーチ影面積 + 母屋影面積 + タイバー影面積 - アーチ/タイバーが母屋と重なる面積) ÷ 耕起面積
    = (48.6㎜ x 6,700㎜ x 16本 + 48.6㎜ x 24,000㎜ x 3本 + 48.6㎜ x 2,500㎜ x 16本 -  48.6㎜ x 48.6㎜ x (16本 x 3本 + 16本 x 3本) ÷ 耕起面積
    = 10,426,372㎜2 ÷ (6,700㎜ x 24,000㎜ )
    = 6.48[%]

    【②アーチピッチが0.5mのφ31.8mm農業用パイプハウスの影面積割合の計算】
    ・母屋:農業用パイプ(φ25.4x1.2)/3本
    ・間口:7.2[m]/耕起幅:6.7[m]
    ・奥行き:24[m]
    ・タイバー:農業用パイプ(φ31.8x1.6)使用/長さ4.23m/4アーチ毎の配置/3箇所母屋
    影面積割合
    = (アーチ影面積 + 母屋影面積 + タイバー影面積 - アーチ/タイバーが母屋と重なる面積) ÷ 耕起積
    = (31.8㎜ x 6,700㎜ x 48本 + 25.4㎜ x 24,000㎜ x 3本 - 31.8㎜ x 4,230㎜ x 12本 - 31.8㎜ x 25.4㎜ x ( 48本 x 3本 + 12本 x 3本)) ÷ 耕起面積
    =13,524,458㎜2 ÷ (6,700㎜ x 24,000㎜)
    = 8.41[%]

ビニールハウス アーチピッチ

 写真:単管パイプハウス(外径Φ48.6㎜×肉厚1.8㎜、アーチ間隔1.4m)
     地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 農業研究本部 北海道原子力環境センター

※アーチピッチが広い為、フィルムに関する作業はしっかりと安全最優先で行って頂くようお願い致します。

まとめ

単管パイプハウスは一般的な農業用ビニールハウスと比べ、単管パイプや金具もホームセンターで買う事ができ、比較的入手しやすいものとなっています。

一方で農業用パイプと単管パイプを比較すると用途が異なる為、想定している耐食性には差があります。以前のブログで、単管パイプを農業資材で使用する上での注意点についてご紹介させて頂いておりますので、是非ご参考下さい。

 ブログ:単管パイプを農業資材として活用する上での注意点!!!

今回ご紹介した単管パイプハウスは周年被覆仕様の為、冬季にPOフィルムを剥がせず除雪作業の手間があったりしますので、皆さまの住まわれている地域の環境も踏まえ、一番最適な農業用ビニールハウスの仕様を選んで頂ければと考えております。

部材に使用するパイプや金具に関して何かご不明点やご質問がありましたら、下記お問い合わせフォームよりお気軽にご相談頂ければ幸いです。以上、宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。

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