生産性の高いビニールハウスや災害に強いビニールハウスは農業経営において重要ですが、急激なインフレの影響で資材高騰が続く現状では、農業用ハウスを建てるコストも大きくなる為、導入を悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。
そんな時に選択肢として挙げられるのが、国や地方公共団体による支援事業の活用です。要件を満たせば、公的な支援を受けて、必要な設備や施設を整備できる可能性があります。
事業には様々な種類がありますが、今回はその中の1つである“強い農業づくり総合支援交付金”について解説します。ぜひ参考にしていただければ幸いです。
“強い農業づくり総合支援交付金”とは
“強い農業づくり総合支援交付金”は、農業における様々な課題に対処するべく、農業者等が行う取組を国が支援する国庫補助事業です。農林水産省が管轄しています。
過去には、“強い農業づくり交付金”や”強い農業・担い手づくり総合支援交付金”といった名称で交付金事業は実施されており、時勢に合わせる形で少しずつ変化しながら、支援事業は続いています。
“強い農業づくり総合支援交付金”の中身は、大きく4タイプに大別されます。
①産地基幹施設等支援タイプ(都道府県整備事業) |
各タイプごとに詳細をご紹介します。なお、ハウスが関係してくるのは①③④になります。
①産地基幹施設等支援タイプ(都道府県整備事業)
国産の農畜産物を安定的に供給し続ける為に必要な産地基幹施設の整備を支援するタイプです。
地域内で農業の課題を解決するための事業計画を策定し、都道府県での審査を経て採択されれば、国から交付金が配分されます。
・ 対象:農業⽤の産地基幹施設 |
こちらのタイプで対象となる農業の課題は、2パターンに大別されます。
(1)産地収益力の強化、産地合理化の促進
(2)みどりの食料システム戦略の推進
それぞれについて解説します。
(1)産地収益力の強化、産地合理化の促進
産地における基幹施設の整備や再編が支援対象となります。
具体例としては、集出荷貯蔵施設や処理加工施設、育苗施設や廃棄物処理施設といった規模の大きい施設整備のほか、土壌改良や暗きょ施工等も対象となります。
参照:農林水産省 強い農業づくり総合支援交付金 産地基幹施設等支援タイプ
(2)みどりの食料システム戦略の推進
“みどりの⾷料システム戦略”とは、⾷料・農林⽔産業の⽣産⼒向上と持続性の両⽴をイノベーションで実現しようとする国としての政策です。
具体的には、化学農薬の低減や有機農業の拡⼤、ゼロエミッション化等があり、こういった取組に必要な施設の整備や改修が交付金による支援対象となります。
施設の例としては、ヒートポンプを導入した低コスト耐候性ハウス、バイオ炭製造施設、有機物処理・利用施設が挙げられます。
参照:農林水産省 強い農業づくり総合支援交付金 みどりの食料システム戦略の推進
②卸売市場等支援タイプ(都道府県整備事業)
⾷品流通の合理化を目的として、卸売市場施設や共同物流拠点施設の整備を支援するタイプです。
・対象:卸売市場施設、共同物流拠点施設 ・交付率:4/10以内等 ・上限額 :20億円 |
③生産事業モデル支援タイプ(直接採択事業)
拠点事業者と農業者が協働し、⽣産/供給の安定化や効率化を実現する⽣産事業モデルを育成していく為の取組を支援するタイプです。
こちらのタイプは、さらに細かく”推進事業”と”整備事業”に分かれています。ハウスはいずれの事業にも該当しますが、以下のような違いがあります。
- 推進事業:通常のパイプを用いた農業用ビニールハウスや機器の導入/リース等
- 整備事業:低コストで災害に強いビニールハウスの要件を満たした"低コスト耐候性ハウス"の整備
・対象:推進事業(農業⽤機械、実証等)、整備事業(農業⽤施設) ・交付率:定額又は1/2以内 ・上限額 :推進事業5,000万円、整備事業20億 |
参照:農林水産省 強い農業づくり総合支援交付金 生産事業モデル支援タイプ
④農業支援サービス事業支援タイプ(直接採択事業)
農業⽀援サービス事業の取組に必要な農業⽤機械等の導⼊を支援するタイプです。例えば、農作業の代行やデータ分析、農業用機械等のレンタル/サブスクリプションといったサービスが対象となります。
・ 対象:農業⽤機械等 ・ 交付率:1/2以内 ・ 上限額:1,500万円 |
“強い農業づくり総合支援交付金”の申請について
“強い農業づくり総合支援交付金”は申請すれば誰でもお金がもらえるというわけではなく、事業計画書の策定や成果目標の設定、研修受講といった要件を満たす必要がある点に注意が必要です。
前述した①〜④のいずれのタイプも、必要な資料/データを揃えた上で申請することになります。
地方公共団体が申請先となるのは、①産地基幹施設等支援タイプ及び②卸売市場等支援タイプです。
農林水産省が申請先となるのは、③生産事業モデル支援タイプ及び④農業支援サービス事業支援タイプになります。
応募の詳細については、農林水産省や各地方公共団体の窓口にお問い合わせください。
なお、時期によってはすでに募集を締め切っている場合がありますので、ご了承の程よろしくお願い申し上げます。
参照:島根県 強い農業づくり総合支援交付金の概要
参照:農林水産省 補助事業参加者の公募
“強い農業づくり総合支援交付金”の実施状況について
低コスト耐候性ハウス等の施設整備において、“強い農業づくり総合支援交付金”が交付された実績は複数あります。
過去3年間に於ける”強い農業・担い手づくり総合支援交付金”で整備された農業用ビニールハウスやガラス室等の温室は、令和3年度:11件、令和2年度:15件、令和元年17件となっています。
参照:一般社団法人日本施設園芸協会 農業用ハウス設置コスト低減のための事例集(令和3年3月)
地域における農業の課題を解決する為に、コストを抑えてより良い農業施設の導入/整備をお考えであれば、交付金の活用もぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
耐候性に自信アリ!ビニールハウスには“STX”がオススメ
当社の”STX”は、しなやかさと強靭性が強みのハイテンパイプです。大きな特徴として強い耐候性を持ち、まさに低コスト耐候性ハウスにピッタリの製品です。
“STX”は従来材のSTK400に比べて約2倍以上の強度を持つほか、柔軟性に優れている為に復元力がある事から、積雪の重量や強風による変形にも耐え抜きます。
このような特性から、実際に農業用ハウスの骨組や支柱として数多くの採用実績がございます。
2003年の発売以降、”STX”は現在もテストを重ねて日々改良を続けております。
”STX”開発の歴史や試験状況については以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひ併せてご覧ください。
参照リンク:”STX”の今までとこれから!!大和鋼管が開発してきたハイテンパイプの歴史について。
また、実際にSTXを用いた”STXハウス”については、以下の記事でご紹介しております。ご参考になれば幸いです。
参照リンク:更に強靭な農業用ビニールハウスを。大和鋼管が皆さまと取組む”STXハウス”というチャレンジ。
まとめ
今回は、”強い農業づくり総合支援交付金”についてお伝えしました。
計画の策定や費用対効果分析、成果目標の設定といったハードルはありますが、施設整備や事業を軌道に載せるための選択肢として、知っていただければ幸いです。
記事内でご紹介させていただいた”STX”についてさらに詳しく知りたい方は、以下のページから製品カタログがダウンロードできますので、お気軽にご活用いただければと思います。
製品に関するご質問やご相談及びそれ以外の様々な疑問やお悩みに関するお問合せについても、何時でも喜んで承りますので、お気軽にお問い合わせください。
今回も最後までお読みいただき、感謝申し上げます。大和鋼管工業では、お客様のお役に立つべく、ブログやメルマガを通して様々な情報をお伝えしてまいります。今後とも宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。
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