2022.04.20

値上げのプレスリリースに関する説明と今後の方針及び現状を打破する為のご提案について。

私たち大和鋼管は2022年04月15日に値上げのプレスリリースを行いました。今回の値上げは母材コイルの値上げに基づき取組んでいますが、昨今では亜鉛や運送コスト等の様々なコストが上昇している状況の為、今後はその様な状況を勘案し更に踏込んだ価格改訂を行って参りたいと考えています。

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まだコロナ禍が抜けきらない状況でロシア/ウクライナ危機が発生し、急速に物価が上昇しているうえに今後の先行きが不透明な為、私たちの製品のみに関わらず国内で様々な需要の低迷が継続し、景気の停滞下で物価上昇が続く状態スタグフレーションの状況に陥る事も想定されます。

そのような状況を踏まえ今回は私たちが発表したプレスリリースの内容についての説明をさせていただいた上で、現状を打破する取組の一貫として、”お客さまの目的やニーズに応じてメッキパイプの仕様を最適化”する私たちの取組みについてご紹介させていただきます。

プレスリリースの内容とその背景及び今後の見通しについて

2022年04月15日のプレスリリースで私たちは、ハイテン鋼管を除く単管パイプ/農業用鋼管/電線管を含む全品種についてトン当たり1万円以上の値上げを実施し、ハイテン鋼管はメートルあたり同値の値上げを実施する事を発表しました。2020年11月からの累積値上げ幅は7万円以上となります。

今回の値上げ発表は母材の熱延コイルの価格上昇が背景にあります。実際に私たちの仕入れ元である日本製鉄は、05月出荷相当分より熱延/酸洗/冷延/めっき鋼板の全品種をトン当たり1万円引き上げ、2020年10月からの累積値上げ幅はトン当たり7万円〜7万5千円となる発表を行っています。

[JP][Blog]金属通信2022.04.18
2022年03月25日付日刊日本金属通信 記事より
※新聞社さまより、掲載許可をいただいています。

さらに上記の発表内に記載のある通り、副原料や物流費、諸資材などの値上がりを含めたコスト上昇幅はトン当たり3万円を超えている状況を踏まえると、足元で大きな変化が起こらない限りは、06月出荷相当分以降で残りのトン当たり2万円以上の追加値上が実施される可能性が高いと想定できます。

また一方で2022年04年18日に東京製鐵株式会社が発表した販価は全品種トン当たり3千円のアップで、市場の予想を下回る値上げ幅になったとされています。

この発表に関し私たちは、国内の製品在庫状況や低迷する中国市況の影響を踏まえると、電炉業界では足元で鋼材出荷単価から主原料価格を差し引いたメタルスプレッドを拡大させにくい状況にあり、先ずは足元の採算性を勘案し収益確保を優先したからだと考えています。

従って既にプライスリーダーのバトンは高炉各社に渡された状況にありますので、今後電炉各社は高炉各社の値上げ状況に追随する可能性が高く、受注/出荷状況を勘案して東京製鐵株式会社がオファー止を実施するか否かが、鋼材の足元での需給状況を判断するバロメーターになると思われます。

亜鉛メッキのコスト上昇の現状と今後の対応について

今後私たちとしては徹底的にコスト削減の自助努力を行いながらも、事業の継続性と安定供給を実現して行くために、母材の熱延コイルだけでなく亜鉛地金等の生産に関わる副資材のコストアップを踏まえた価格改正を検討/実行して行きたいと考えています。

特に副資材の中でも亜鉛地金の価格上昇の影響は大きく、前回のブログでもご紹介しましたが、電力コストの上昇や為替等の影響を受けて過去最高の価格を更新し続け、近年もっとも亜鉛価格が安かった頃と比較して現在は2倍以上の価格となっています。

 リンク:大和鋼管ブログ_亜鉛の値段はドコまであがる?!コスト状況の背景と製品価格へのインパクトについて。

実際に6月出荷相当分よりメッキ鋼管はさらにトンあたり1万5千円の値上げを発表している業者様もいる等、私たちも溶融亜鉛メッキにかかるコスト上昇分を販売価格に転嫁せざるを得ない状況に陥っています。

私たちの最新の試算では、近年もっとも亜鉛価格が安かった2020年03月時点のトン当たり25万9千4百円から2022年04月14日現在のトン当たり62万8千円(242%の値上)では、ポストジンクの単管パイプ1メートルあたりでは6.83[円]の累積でコストアップしている事になります。

この様な状況を踏まえて私たちは今後は製品毎のメッキの付着量に応じて製品価格を引き上げる事を具体的に検討しています。基本メッキの付着量は製品毎にパイプの表面積と平米あたりに付着するメッキのグラム数で仕様が規定されていますが、別途歩留り等も勘案する必要があるので、お客さまへのわかり易さと納得感に十分に配慮し、慎重且つ丁寧に検討/対応して行きたいと考えています。

現状を打破する為のご提案について

このように需要が低迷している中から景気を回復するのに必要となるのは、可能な限り経済活動を停滞させる事なく富の循環を円滑にする努力を重ねることです。

つまり大きな経済の循環として企業は資源価格の上昇をシッカリ製品価格に反映し事業継続に十分な収益を確保すると同時に、消費者となる従業員の給与も物価上昇に見合って引き上げる事が肝心です。そうすれば消費者の購買力は下がらずに、需要も減退せずに経済の好循環を生む事に繋がっていきます。

その為にも私たちは経済活動を極力妨げず現状を打破する取組として、鉄鋼製品だけでなく様々な物価上昇が続く見込みが高い中で、更にハイテン材を活用した軽量化や独自の亜鉛メッキ鋼管製造ラインの特性をフル活用し”お客さまの目的やニーズに応じてメッキパイプの仕様を最適化”することで、更なる”為になるお役立ち”を追求/実践して行きたいと考えています。

先ずは以下の様な2つの方向性を想定しておりますので、皆様の目的やニーズを踏まえロットサイズ等の生産性も勘案し、具体的な取組に繋げて行ければ幸いです。

①スーパーライト700による軽量化

  • 25%軽量化による運送コストの低減 ≒ 輸送車両台数の削減
  • 25%軽量化による作業効率◯◯%アップ ≒ 作業にかかる人手の最適化

新規CTA

②ポストジンク/パーフェクトポストジンクによるメッキ付着量の最適化

  • 後メッキと比較して半分以下の付着量で同等の耐食性を実現 ≒ 亜鉛の省資源化

 リンク:大和鋼管工業株式会社HP_製品紹介_ポストジンク/パーフェクトポストジンク

またこのような取組みは、物価が上昇している局面で経済活動を妨げる要素を減らすだけでなく、原材料の製造に関わる資材やエネルギーの最適化にも繋がりますので、今後継続的に必要になるSDGs等の環境面でも貢献できる取組みであると私たちは考えています。

まとめ

今回は、私たちが発表したプレスリリースの内容とその背景及び今後の方向性についての説明と、私たちが考える現況を打破する取組の一貫としての”お客さまの目的やニーズに応じてメッキパイプの仕様を最適化”する取組みについてご紹介させていただきました。

私たちは"需要なき物価の高止まり"が今後も続くことも想定した上で、可能な限りコスト削減への自助努力を徹底しつつも、お客さまの目的やニーズに応じて製品の仕様の最適化に取り組み、お客さまへの”為になるお役立ち”を実現して行きたいと考えています。

私たちの製品や取り組みについて詳しく知りたいという業者さまがいらっしゃいましたら、個別にご説明を実施することも可能です。興味のある方がいらっしゃいましたら、以下のフォームから気軽にお問合せください。以上、宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。

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