「メッキパイプ製造には、どんな機械や設備を使っているのだろう?」
「メッキパイプはどのような流れで作られているのだろうか?」
このような疑問をお持ちの方に、メッキパイプの製造工程を深掘りしながら、ご紹介させていただくブログをシリーズでお届けしています。
第5回の今回は、造管の"仕上げ"の工程について解説します。ぜひご一読いただければ幸いです。
これまでの記事では、"スリッター"、"継(つなぎ)"、"運転"、"メッキ"について解説しています。これらもぜひ併せてご覧ください。
【第2回】"継 (つなぎ)"って何?!バラバラのコイルを1つに繋げ、連続製造を可能にする工程を紹介。
【第3回】"運転"”が鋼管製造のリーダー?!造管ラインを起動し、帯鋼をパイプにする工程について。
【第4回】"メッキ"がパイプを錆に強くする!!耐食性を生み出す"メッキ"の工程を紹介。
"仕上げ"の工程とは?
造管ラインに於ける"仕上げ"とは、メッキされた後のパイプの表面を仕上げ処理する一連の工程を指します。
たとえどんなにメッキパイプがシッカリ造られている様に見えても、仕上げの工程で不良を見つけられなかったり、パイプの表面の質が悪くなってしまったりすると、そもそもの製品の安全性の確保のみならず、見た目を損なったり、その後の錆の発生に繋がったりすることが起こりえます。
私たちがメッキパイプを造管する”仕上げ”の工程に於いて、どのような対応を行なっているのかを詳しくお伝えさせていただきます。
"仕上げ"の具体的な中身
私たちの造管ラインの"仕上げ"は、主に以下の4つの工程から成り立っています。
- 渦流探傷(ECT)
- PLT
- トップコート
- 乾燥
それぞれについて解説させていただきます。
"渦流探傷検査(ECT)"
"渦流探傷(かりゅうたんしょう)検査"とは、メッキパイプの表面傷や溶接の不具合を見つける為の"非破壊検査"です。英語では”Eddy Current Testing”もしくは”Electromagnetic Testing”といい、その頭文字を取って”ECT (イーティーシー)”や”ET(イーティー)”と呼ぶこともあります。
"渦流探傷検査"の"渦流 (かりゅう)"とは、"渦電流(うずでんりゅう)"とも呼ばれ、その名の通り渦状をした電流のことです。造管されたメッキパイプの熔接不良や傷の検知には、この"渦流"が大きな役割を果たします。
検査に用いられる"渦流探傷機"という装置では、まず"渦電流発生コイル"を用いて検査対象のメッキパイプの内部に"渦流"を発生させます。
もし検査対象のメッキパイプに熔接不良によるひびや割れ、表面に深い傷等があった場合は、この"渦流"の形が変化する現象を活用して、"渦流探傷機"が不具合を検出する仕組になっています。この検査は非破壊検査なので、連続して100%全数検査が可能です。
"PLT (ピー・エル・ティー)"
"PLT (ピー・エル・ティー)"とは、英語で完全なロット追跡を意味する”Perfect Lot Tracking”の頭文字をとった略称で、日本語でも正式には"パーフェクト・ロット・トラッキング"と呼んでいます。
"PLT"当社で製造したメッキパイプ1本1本について、原材料から製造に関わる様々な設備や工程の状態等の情報を後から識別できるようにした、当社独自のトレーサビリティーの仕組みです。2022年09月から一部製品において開始し、徐々に対象製品を拡大中しています。
具体的には、造管されているメッキパイプの表面に切断寸法に合わせレーザーを用いて識別用のマークを印字し、このマークを用いてシステムに保管されている製造関連のデータを照合できる仕組になっています。
なお、ここで付与されるのはメッキパイプそのものの製造に関わる情報のみであり、お客さまの情報は一切含まれておりませんのでご安心ください。
"PLT"についてさらに詳しく知りたい方向けの解説記事もございます。こちらも併せてぜひご覧ください。
ブログ:品質向上への更なるチャレンジ!!”パーフェクトロットトラッキング”の取組について。
"トップコート"
表面の不具合チェックをクリアしたメッキパイプを"高圧洗浄槽"で洗浄してから、白サビの防止を目的とした二次防錆の為の樹脂製クロムフリーのコーティングである"トップコート"を塗布します。
"溶融亜鉛メッキ"の上からさらに"トップコート"でコーティングすることによって、錆に強く美しいメッキパイプが出来上がっていく訳です。
なお、メッキパイプの用途によって適切な"トップコート"の厚さが異なる為、作業者は適宜調整を行うと同時に、"トップコート"の厚さが均一になるよう、常に注意を払っています。
作業を担当している角田陽生さんからは、「気をつけているのは、"トップコート"にムラがないかをチェックすることです。また、塗布した"トップコート"が十分に付着しているかを常に監視・管理しています」と教えていただきました。
"乾燥"
"トップコート"を塗布し終えたら、メッキパイプを加熱機で温め"乾燥"させる事で、”トップコート”が剥がれない様に固めていきます。ここまで来れば、メッキパイプの造管は完成まであと少しです!
独自コーティングで表面を保護。"パーフェクトポストジンク(PPZ)"
防錆性の高いメッキパイプとして、当社は"パーフェクトポストジンク(PPZ)"をご用意しております。内外面共に溶融亜鉛メッキで固め、最表面には当社独自の樹脂製透明保護皮膜を被せています。白錆の発生を抑制し、さらにクロムフリーなので人や環境にも配慮。安全/安心にパイプをお使いいただけます。
また、お得なメッキパイプをお探しの方にオススメな"ポストジンク(PZ)"にも同じ樹脂製コーティングを塗布しております。コーティングにもこだわった当社のメッキパイプをぜひお試しください!
→"パーフェクトポストジンク"/"ポストジンク"の詳細はこちら
まとめ
今回は、当社の造管に於ける"仕上げ"の工程について詳しくお伝えさせていただきました。
先ずシッカリと製品の検査を行ない、次に何かあった場合の製品の追跡を可能にし、そして白サビの防止を目的とした二次防錆のコーティングを施す"仕上げ"は、外観の美しさの実現のみならず、防錆や安全性の面においても極めて重要な工程です。
これらの"仕上げ"の工程を経て造られた当社のメッキパイプを、ぜひ実際にお手に取っていただき、見た目や質感をご確認いただければと思います。
記事内でご紹介した当社製品のお見積もりは無料で承っておりますので、ご希望の方は以下のフォームからお気軽にお問い合わせください。担当者から折り返しご連絡させていただきます。また、ご質問やご相談も喜んで承ります。
最後までお読みいただき、感謝申し上げます。次回は、"カット"の工程についてご紹介します。お楽しみにしていただければ幸いです。ありがとうございました。
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