2024.08.07

"メッキ"がパイプを錆に強くする!!耐食性を生み出す"メッキ"の工程を紹介。

「メッキパイプ製造には、どんな機械や設備を使っているのだろう?」
「メッキパイプはどのような流れで作られているのだろうか?」

このような疑問をお持ちの方に、メッキパイプの製造工程を深掘りしながら、ご紹介させていただくブログをシリーズでお届けしています。

第4回の今回は、当社に於ける"メッキ"の工程について解説します。ぜひご一読いただければ幸いです。
なお、これまでの記事では、"スリッター"や"継(つなぎ)"、"運転"について解説しています。これらもぜひ併せてご覧ください。

【第1回】"スリッター"ってどんな機械?!メッキパイプ製造の前工程の設備を詳しく解説。
【第2回】"継 (つなぎ)"って何?!バラバラのコイルを1つに繋げ、連続製造を可能にする工程を紹介。
【第3回】"運転"が鋼管製造のリーダー?!造管ラインを起動し、帯鋼をパイプにする工程について。

耐食性を生み出す"メッキ"の工程

[JP]メッキの工程

いかに錆に強いパイプを作るか。そのかなめは"メッキ"にあると言っても過言ではありません。この項では、"内面側片面溶融亜鉛メッキ"、"外面溶融亜鉛メッキ"、そして"サイジング"について解説させていただきます。

残念ながら何れも工程も当社の技術とノウハウが結集されている工程になっておりますので、イラスト以外でお見せするのが難しい状況です。

それでも是非見てみたいという方は、守秘義務契約等を行った上で実際の工場見学及びオンラインでリモートプラントツアーを行う等が可能ですので、以下のリンクよりお問い合わせいただければ幸いです。

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"内面側片面溶融亜鉛メッキ"

"内面側片面溶融亜鉛メッキ"とは、円筒形に成形する前の"帯鋼"の状態で、パイプの内面側になる片面のみに亜鉛メッキを施す工程のことで、通常の鋼板のメッキは垂直方向で行うので、世界でも他の類を見ない当社独自の極めて特殊な工程です。

[JP]内面溶融亜鉛メッキイメージ

なお、"溶融亜鉛メッキ"は亜鉛メッキの一種であり、高温で溶かした亜鉛を用いて、鋼材表面に亜鉛皮膜を形成する方法です。

内面に亜鉛メッキを施すのは"パーフェクトポストジンク(PPZ)"という製品の場合であり、作業の順番としては、"帯鋼"を円筒の形に丸める"フォーミング"の前に行われます。

"外面溶融亜鉛メッキ"

"外面溶融亜鉛メッキ"とは、円筒形に成形されたパイプの外周に亜鉛メッキを施す工程のことで、米国市場における電線管製造設備を中心に採用されている製造方法です。

[JP]外面溶融亜鉛メッキイメージ

溶接と前処理を経たメッキ前のパイプは前処理での化学薬品洗浄の影響で白っぽく、どこか垢抜けない印象ですが、"外面溶融亜鉛メッキ"を施すことで、一気にピカピカした光沢のある、美しい銀白色になります。

"サイジング"

"サイジング"とは、パイプの外径を最終調整する工程のことです。板状の"帯鋼"から円筒形に成形したパイプは、それだけでは完璧な形とはいえません。そこで、"サイジングロール"と呼ばれる回転器具を使って、綺麗に成形していきます。

[JP]サイジングロール

"サイジングロール"は製造ライン上の亜鉛メッキ工程後に配置されており、そこに溶融亜鉛メッキを施したパイプを通して、少しずつ形を整えていきます。

[JP]サイジングイメージ図

"サイジングロール"は上下だけではなく左右にも設置され、パイプはこの上下左右のロールを交互に通っていくことで、綺麗な形に精度良く仕上げられていきます。また、"サイジングロール"は亜鉛メッキされた表面を磨く効果もある為、より美しい製品が生み出されるのです。

実は、"サイジングロール"は丸いパイプだけではなく、四角い"角パイプ"の製造にも使われています。詳しくは、ぜひこちらの記事をご覧ください。

 ブログ:四角いパイプはどう造る?!当社における”角パイプ”の製造工程と”バタ角”のご紹介。

薄いが、強い。大和鋼管の"メッキ"へのこだわり

私たちは、一貫して"錆に強く丈夫で、お客さまに安全/安心に使っていただけるメッキパイプ"を追求しています。これは単に目標を掲げているのではなく、実際に製法を工夫することによって実現しています。

一般的なドブ漬けメッキは、数分間メッキ槽に漬ける為に時間がかかるほか、"合金層"と呼ばれる鉄と亜鉛が混じり合った層が、パイプ表面に分厚く形成されてしまいがちです。この"合金層"は鉄と亜鉛の異種成分が混ざり組織構造が不安定であり、それだけメッキが剥離しやすく、また亜鉛のみの純粋な"純亜鉛層"に比べて鉄成分が多く含まれている分、赤錆が発生しやすいという特徴を持ちます。

一方で、当社の製造ラインでは、メッキを施す時間が数秒と極めて短くなっています。実は、この短さによって錆に強い"純亜鉛層"の厚みはシッカリと確保しつつも、"合金層"の形成が抑えられるので、かえって錆に強いメッキパイプを製造できる訳です。

合金層比較

実際にこの方法で製造された"パーフェクトポストジンク(PPZ)"について、その耐久性は、"一般財団法人土木研究センター"による建築技術審査証明を受けておりますので、ご安心してお使いいただければと思います。

"パーフェクトポストジンク(PPZ)"の耐食性/防錆性に関する実験結果については、以下の記事で詳しく解説しておりますので、こちらもぜひご覧ください。

 ブログ:”パーフェクトポストジンク”はどうスゴい?!その耐食性/防錆性の秘密や活用用途を詳しく解説。

作業担当者からのコメント

鋼管炉を担当している簗瀬涼太さんに、作業に関するお話を伺いました。[JP]タブレットを操作する作業員

──作業で気をつけているポイントはありますか。

「溶融亜鉛メッキを施す前に、前処理としてメッキ前のパイプの表面を化学薬品で洗浄します。この化学薬品の濃度と温度が、前処理する条件に最も適した状態になるよう、注意を払っています」

──作業へのこだわりはありますか。

「メッキの変化に適切に対応することです。どういうことかというと、亜鉛の温度/前処理の温度と濃度/発生する亜鉛灰の状態等、メッキの状態は常に変化しています。そこで、メッキ槽から出てくるパイプを確認し、その表面状態からわずかな変化を見極めて、都度対応を行っています」

──大変だったことはありますか。

「昔、まだ作業に慣れていなかった頃、手順を間違えて亜鉛メッキを正しくパイプの表面に乗せられず、剥がれた亜鉛が"サイジングロール"に焼き付いてしまい、ラインを停止してロールの取替えを行わなくてはならないという失敗をしたことがありました。この経験から、今は作業手順を厳しくチェックし、スムーズにライン稼働できるよう努めています」

──お客様へのメッセージをお願いします。

「これからもメッキパイプの強く美しい表面肌を維持し、ご購入いただくお客さまに喜んでいただける製品を作ってまいります。今後もご愛顧の程、よろしくお願い申し上げます」

圧倒的な錆への強さ。"パーフェクトポストジンク(PPZ)"とは

前述したとおり、"パーフェクトポストジンク(PPZ)"は"外面溶融亜鉛メッキ"だけでなく"内面側片面溶融亜鉛メッキ"も施された、当社製品の中で最も錆に強いメッキパイプです。

パイプ画像-PPZ

"パーフェクトポストジンク(PPZ)"とは製法の種類であり、この内外面共に溶融亜鉛メッキを施すことは、当社の軽量単管パイプ"スーパーライト700(SL700)"や農業用ハイテン鋼管"STX"にも対応可能です。

「とにかくサビないパイプが欲しい!」という方は、ぜひ当社の"パーフェクトポストジンク(PPZ)"をお試しください!
"パーフェクトポストジンク"の詳細はこちら

まとめ

今回は、"メッキ"の工程について詳しくお伝えさせていただきました。

"メッキ"の質は、そのままパイプの耐食性につながります。皆さまのお役に立てるメッキパイプをご提供する為に、私たちは肝となる"メッキ"には特にこだわり、日々製造に向き合っています。

​​記事内でご紹介した当社製品のお見積もりは無料で承っておりますので、ご希望の方は以下のフォームからお気軽にお問い合わせください。担当者から折り返しご連絡させていただきます。また、ご質問やご相談も喜んで承ります。

新規CTA

最後までお読みいただき、感謝申し上げます。
次回は、"コーティング"の工程についてご紹介します。お楽しみにしていただければ幸いです。ありがとうございました。


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