2022.06.23

農業向けドブメッキ鋼管の代替はポストジンクで?!製品仕様の見直しによるインフレ対策。

歴史的高水準のインフレが継続する昨今、アメリカでは先日27年7ケ月ぶりに政策金利を0.75%引き上げることが決定されましたが、日本銀行は金融緩和を続ける方針を維持しており、この先も円安傾向が続くことが想定されています。

食糧やエネルギーの自給率の低い日本にとっては、円安に伴って食料品や電気代等が更に値上がりする可能性が高く、私たちの生活への悪影響が懸念されます。

特に農業を営まれる方々に於いて、部材のみならず飼料や肥料等も著しく値上がりしており、少しでもコストを削減したいと考えるのは当然だと思います。

更に、毎年の様に大雨や台風に見舞われる日本におきましては、強くて耐久性があり且つ経済性の高い農業資材のニーズが高まっていると私たちは実感しています。

その一例として、ドブメッキ仕様の単管パイプを農業資材として活用されている方々から「亜鉛及び鋼材価格の高騰の影響等もあり、入手し難くなっている」というお声を最近よくお聞きする様になりました。

この様な状況下で「ドブメッキ仕様の単管パイプの代替品として、何がいいのか分からない」という方もいらっしゃるかと思いますので、今回はドブメッキの代替品として”ポストジンク”の単管パイプをご提案すべく比較検証を行いましたのでご紹介させていただきたいと思います。

農業資材に単管パイプを使用する上での注意点

一般的に単管パイプと農業用に使用されるパイプは、亜鉛メッキの付着量が異なります。これは農業資材として使用されるパイプは、高温多湿な環境下や農薬などの相性によって高い耐食性を求められており、亜鉛メッキの付着量を増やすべきだと想定されているからです。

一方で、単管パイプは元々建設現場などの足場として使用されており、基本的には水捌けがよく通気性の高い環境での使用が想定されていることもあり、メッキの付着量は農業資材用のパイプと比べ低く設定されています。その為、亜鉛の付着量が多いドブメッキ仕様の単管パイプを農業資材として使われている方が多いと思います。

以前に、単管パイプを農業資材として活用する上での注意点をまとめたブログ記事を公開しておりますので、より詳しく知りたい方は以下のリンクよりご確認いただければ幸いです。

 参考記事:単管パイプを農業資材として活用する上での注意点!!!

ドブメッキの単管パイプが入手困難になっている背景

市中で手に入るドブメッキの単管パイプは、主に韓国等からの輸入品が多く、為替の影響を受け大きく値上がりしている様です。2020年10月時点では、1ドル=0.00087ウォン/=105.2円でしたが、2022年04月では1ドル=0.00081ウォン/=126.2円で、為替変動幅ではウォンの+6.9%に対して円で−20%と、円の方が価値を下げている状況です。

実際に、某オンラインショップのドブメッキの単管パイプの市場価格は、4mのピンなし仕様で2020年10月時点の1,520円から2022年4月時点2,200円に上昇しており、その上げ幅はおよそ45%になっています。

更に、コロナ感染拡大によって世界的なバリューチェーンによる需給の混乱や資源価格の高騰に伴う燃料費の上昇等、ばら積み船運賃やコンテナ運賃と言った海上輸送運賃が上がっていることもあり、海上輸送はしばらく混乱が継続することも想定する必要があると考えられます。

外面でドブメッキと同等の耐食性を実現する”ポストジンク”

当社の”ポストジンク”の外面は、ドブメッキ同様に全周亜鉛メッキが施されており、溶射部からのサビの心配がありません。

更に、独自の製法によって少ない亜鉛付着量でも耐食性に有効な純亜鉛層の厚さがドブメッキとほぼ同等な為、用途によって必要十分な耐食性を経済性を担保し実現できる可能性があります。

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独自の調査で、実際に農業資材として使われているドブメッキの単管パイプを踏まえて、当社の”ポストジンク”が同レベル以上のメッキ性能を実現できないか、外メッキ層/合金層/純亜鉛層の厚さを測り検証しましたので、以下をご参照いただければ幸いです。

メッキ層/合金層/純亜鉛層の比較
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上の比較表の通り、”ポストジンク”の外側のメッキ層の厚さは17μmと、ドブメッキの49μmに比べると1/3強しかありませんが、合金層の厚さが”ポストジンク”では8μmに対しドブメッキは46μmと圧倒的に少ないので、メッキの性能に最も影響を与える純亜鉛層の厚さが”ポストジンク”は9μmでドブメッキでは3μmと3倍厚くなっています。

つまり、HDZT49という規格のドブメッキパイプに対してであれば、広く流通している120Z仕様の一般的な”ポストジンク”でも、メッキ性能に最も影響を与える純亜鉛層の厚みは十分に担保しているので、メッキ層の全体の厚さが薄くても十分メッキ性能を担保でき、経済性の観点でも資源の有効活用といった環境性の観点でも優れた結果を発揮できると考察できます。

更に合金層について詳しく知りたい方は、以下のブログ記事にてご紹介しておりますので、ご確認いただければ幸いです。

 ブログ:なるほど!!!合金層が分ける亜鉛メッキの防錆性能と特性。

ドブメッキの単管パイプの代替にオススメの”ポストジンク”

これらの事実を踏まえて私たちは、足元で入手困難であり且つ価格が特に高騰しているドブメッキの単管パイプの代替品として、用途に応じて”ポストジンク”の単管パイプをオススメしたいと考えています。

ポストジンク”の単管パイプのメリットをまとめさせていただきましたので、以下をご参考いただければ幸いです。

  • パイプの外面に於いては、ドブメッキ同様にビード部もメッキされているだけでなく、合金層が薄く純亜鉛層が厚いので、少ない亜鉛付着量でドブメッキと同等の耐食性がある。
  • ホームセンターやオンラインショップで手軽に購入ができる為、必要な時に/必要なだけ入手ができる。
  • RoHS指令にも対応したノンクロム製品であり、また独自のメッキ工程により一般のドブメッキに含まれる鉛/カドミウムを含まず、人にも環境にも優しい。

一方で、”ポストジンク”の内面には水性亜鉛無機コーティングが施されており、先メッキと比較して同等以上の耐食性能を実現すべく管理されています。

その為、単管パイプを使用する一般的な用途や環境に対して必要十分に耐食性を担保していますが、目的や用途及び活用シーンに応じて”ドブメッキ”を選択する必要がある場合がありますのでご注意ください。

 ブログ記事:ミズエコでスーパーライト700がバージョンアップ!!その耐食性能は如何に?(・・?

万が一、水の侵入によっての内面からのサビ発生に懸念がある場合には、ホームセンターやオンラインショップでも購入できる下記写真のような”単管キャップ”を使用することで、内面へ雨水などの侵入を防ぎより経済的に耐食性の向上を実現できる方法もあります。

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画像:単管キャップ

まとめ

今回は、入手困難や価格高騰が顕著な、農業資材として使用されるドブメッキの単管パイプの代替品として、外面のメッキ性能の比較を踏まえて私たちの”ポストジンク”の単管パイプをご提案させていただきました。

「ポストジンクの取扱いがある近くのホームセンターを教えて欲しい」や「”ポストジンク”の見積り/サンプルを依頼したい」などのご希望がございましたら、以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。

新規CTA

一方で、ポストジンクの内面は”水性亜鉛無機コーティング”の為、使用する用途や環境によっては内面の耐食性に関してドブメッキと比較をすると不安を感じる方もいらっしゃるかと思います。

そのような場合は、内外面メッキが施されている”パーフェクトポストジンク”の単管パイプも当社でご用意できますので、詳しく知りたい方は以下のリンクより資料をご参考いただければ幸いです。

尚、”パーフェクトポストジンク”に関しましては一部で納期やロットの制約がございますので、ご購入を検討されている場合はお早目にご相談ください。

お役立ち資料はコチラ

高水準のインフレの継続により、如何にコストを抑えパフォーマンスを担保するのかの本質が、より厳密に問われるシーンが増えている認識です。しかし、必要な性能に応じて適切な性能や製品を選択する事は、経済性のみならず環境性の向上も実現できる好機でもあります。

私たちはお客さま一人ひとりのニーズに応じて、適切な製品を経済性/環境性の両面の向上を以て少しでもお役に立てればと考えておりますので、これからも宜しくお願い申し上げます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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