変化し続ける市況に於いても可能な限り先々の需要を見極め、
しかし漸く円安には歯止めの兆候がみえてきましたが、米国ではインフレを抑えるべく中央銀行FRBによる急速な利上げが行われており、未だ日本での物価上昇をの価格への反映は道半ばです。
特に鉄鋼に於いては需給共に世界最大の規模を誇る中国の影響を受け既に世界の鋼材市況はピークアウトが明確になっており、欧米に比して高炉の市場影響力が大きい日本では内外格差及び電炉との製品価格の格差が広がり、
今回は読者の方々に最適なメッキ鋼管の購入を判断していただく参考のために、これまでに私たちが発表した値上げの経緯を整理整頓し、市中価格の予想と秋口以降の製品価格の見通しについて、私たちの見解をご紹介させていただきます。
これまでに実施してきた値上げについて
今迄の経緯をより詳らかにご理解いただけるように、以下に2020年の秋頃からこれ迄に私たちが実施した値上げについてその経緯をまとめました。当時のブログと併せてご紹介いたします。
大和鋼管工業の累積値上げ幅 [円/t]
リンク:2020/11/11_メッキ鋼管の値上げの理由/背景について
②2021年2月より単管パイプおよびメッキ鋼管、
リンク:値上げのプレスリリースに関する説明と今後の方針及び現状を打破する為のご提案について。
秋口までの国内に於ける鋼管市況について
国内トップの鋼管製造/販売メーカーである丸一鋼管は、2022年07月14日に農業用鋼管と電線管を除きカラーを含む全鋼管製品について08月01日出荷分からトン1万円値上げを実施する事を発表しました。同社の値上げ累計は2020年10月から同9万円となります。
私たちの値上げのペースと比較すると、2020年10月からの累計値上げ幅9万円に達するペースに約1ヶ月の差が生じていましたが、出荷される製品の値上げ幅はほぼ同じで、遅くとも8月出荷分からは累計9万円となっています。
しかし足元では鋼管類は価格高騰による買い控えや猛暑及び人手不足等の影響で需要は弱く、市中在庫は過剰気味になっており、値上がりがタイムリーに反映されない可能性が高い状況です。
製造/販売メーカーの値上げ幅と市中価格の値上げ幅を比較する為に、私たち大和鋼管が発表した母材熱延コイル分の値上げ幅と一般構造用鋼管(STK400・黒・48.6x2.3)の市中価格値上げ幅を算出し、以下のグラフで表してみました。
製造/販売メーカーの値上げ幅と市中価格の値上げ幅比較[円]
このグラフをみると私たちが値上げ発表を行ってから市中価格に価格が反映されるまでの期間は2021年の始めは約1ヶ月でしたが、去年の7月の段階では約2.0ヶ月弱に、その後は需給が逼迫した影響もあり市中価格が先行する傾向が2022年の春先まで続きましたが、05月からは再び当社の値上げが市中価格に対し一時的に先行し、6月でまた追いついている状態です。
そして今から私たち鋼管の製造/販売メーカーからは遅くとも8月出荷分よりトン当たり累計9万円の値上げが実施されている訳ですが、昨年に比して市中在庫のレベルが高く需要が弱い現状を踏まえると、市中価格にトン当たり累計9万円の値上が反映される状況になるまでは、少なくとも2ヶ月程度のタイムラグが発生し、10〜11月頃になりそうです。
秋口以降の鋼材市況の見通しについて
様々な要素が複雑に絡み合い先行きが見通し難い状況ですが、秋口以降で鋼材価格が”急速に下がる”シナリオと”更に上がる”シナリオの2つに分けて私たちなりに考察してみましたのでご紹介させていただきます。
鋼材価格が急速に下がるシナリオ
鋼材価格が更に上がるシナリオ
まとめ
今回は、これまでに私たちが発表した値上げの経緯を整理し、市中価格の予想と秋口以降の製品価格の見通しについて、私たちの見解をご紹介させていただきました。
私たち鋼管の製造/販売メーカーが実施した鋼管の価格の値上げが市中に浸透する秋口迄は市中の価格が上がる可能性が高いですが、その先は未だ不透明な状態であり、如何に需要見合いの対応をキメ細やかに行って収益を積上げる事かが、持続可能な鉄鋼市場を形成する上で肝心であると再確認しました。
中々難しい市況ではありますが、私たちも可能な限りお客さまの為になるお役立ちを実現できる様に、創意工夫で様々な取組を進めて参りたいと考えております。具体的にご購入を検討されている案件や必要な見積もり対応等がありましたら、
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